ポーラの新サロン戦略を読む
新「APEX」の位置づけは
若年世代へリアル体験¢i求
ダイレクトセリング化粧品最大手のポーラ(本社・東京都品川区、及川美紀社長)は、サロンビジネスを業界に浸透させた筆頭的な存在だ。コロナ禍の中、直接対面型のアプローチが困難になったことで、オンライン・オフライン双方を活用した施策が誕生し、アフターコロナの現在でも定着しつつある。そんな中、ポーラが先ごろ発表した新サロン戦略は、OMOをコンセプトとし、新しいマーケットを開拓する拠点として位置づけられる。7月1日に発売する新「APEX」は、既存サロンのほか新サロンでも取り扱う予定だが、「APEX」は最高峰ブランド「B.A」に並ぶ基幹ブランドであり、訪販メーンの時代からポーラの核とも言える存在。新サロンと「APEX」の関係性とその狙いを読み取る。
▲2070万件のビッグデータを
強みに最適なアイテムを提案する
新「APEX」
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新「APEX」
変わるサロンの役割分担
ポーラ・オルビスホールディングスが2023年12月期の決算発表において明らかにした新型サロンの全貌は未だ明らかにされていないが、既存の「ポーラ ザ ビューティー」(=PB)や「エステイン」とは異なるタイプの「OMO戦略サロン」の出店を計画している。コロナ禍を経て、消費者のライフスタイルや価値観が多様化した結果、従来のサロンに依存したビジネスモデルでは新規顧客の獲得が困難になってきていることを踏まえ、顧客接点および販売活動のオンライン化を進めることで、事業基盤の強化を図る狙いだ。都心部などの好立地などに条件を絞って年内に出店をスタート、2025年には約50店舗、2027年には300店舗までの拡大を目指すとしている。メーンターゲットは、20代〜40代の働く女性などで、美容に一定以上の関心があり、かつ可処分所得に余裕がある層だ。
「OMO戦略サロン」は、ポーラのサロン展開において、最上位の旗艦店「ポーラ ギンザ」に次ぐ立ち位置となる。従来は、旗艦店の下にPB、さらに「エステイン」などポーラショップが位置づけられ、顧客の裾野を広げる役割を果たしてきた。2005年から展開を開始したPBは、最高峰ブランド「B.A」とともにポーラのブランドイメージを大きく刷新する役割を担ってきた。スタートから既に20年近くが経過しており、ブランドイメージを踏襲した店舗がある一方で、イメージと乖離した店舗が営業するなど、PBの中でもその実態に振れ幅が出てきているのが実情だ。コロナ禍を経て、PBはその店舗数を減らしており、以前に比べるとサロンとしての訴求力を弱めていることは否めない。これに対し、「OMO戦略サロン」では、位置づけをPBの上位とすることで、さらなるブランドイメージの強化・刷新、若年層の取り込みを図っていく。PBは、「O M O戦略サロン」にブランド訴求の役割をある程度移管しながら、引き続き地域密着による顧客フォローという役割分担を進めるものとみられる。
対面販売の強み活かせるか
「OMO戦略サロン」における取扱商品やサービスなど、具体的な内容は現時点では不明だが、ポーラが7月1日に発売するパーソナライズドブランド「APEX(アペックス)」については、OMO戦略サロンでの取り扱いを予定している。アペックスと言えば、ポーラが1989年から展開しているスキンケアブランド(当初はアペックス・アイ)であり、「B.A」と並んでポーラを代表するブランドと言っても過言ではない。7回目のリニューアルとなる今回は、2070万件という肌分析のビッグデータとカウンセリング、最新の研究開発技術をフィードバックしてユーザー一人ひとりに合わせたアイテムを提案する。加えて、アプリとの連動を強化しているのが大きな特徴だ。
(続きは2024年4月4日号参照)