フリーランス新法、業界の関心薄く

訪販協は勉強会検討、連鎖は特商法の規制が先行


今秋の施行を控え、DS業界も無関係と言えないフリーランス新法(以下新法)。しかし、現時点では、多くの業界関係者が関心を寄せていると言えない様子だ。
 委託販売員との取引を長らく続けている古参訪販の一社は、フリーランスの保護を目的とする制度が「法制化されること自体を意識していなかった」とコメント。今後、自社の販売員が新法の対象になり得る可能性が考えられる一方、今の取引形態を規制の内容と照らし合わせた場合、「現状と同じ取り組みでいけば、問題ないと思う。特段の懸念はない」とする。別の中堅クラスの連鎖販売取引企業は「ほとんど(新法の)情報を持っていない」「まずは、顧問弁護士や税理士に相談してみたい」とした。
 このような反応の背景には、新法の存在がそもそも知られていないことが大きい。また、自社と委託販売員やディストリビューターの関係が原則として新法の対象になり得るとしても、個々の契約形態によって異なってくる可能性がある。新法の制定過程では、何十種もの業種が想定されたが、ここでDS業界の委託販売員やディストリビューターが踏まえられた形跡はない。一口にフリーランスと言っても、新法の定義に該当するかは各社で確認する必要がある。
 業界団体の動きはどうか。日本訪問販売協会は取材に、新法について「何らかの情報を提供する場を持とうとは考えている」とした。
 直近の取り組みは、加盟企業に対して発行している、協会の四半期毎の活動をまとめた「訪販協活動報告」の1月号の中で、新法関連の情報を掲載。ただ、ここで触れている情報は行政が広報済みの内容にとどまり、DS業界のどのような業種、取引関係が新法の対象になり得てくるかといった”レビュー”までは踏み込んでいないという。
 一方、加盟企業の間でも、やはり新法に対する関心は高くない模様だ。


(続きは2024年3月28日号参照)