現場の声 「今年で引退することにした」

ある化粧品販売員の決断 団塊世代、終活≠煬ゥ据えて


「実は、今年で販売員を辞めることにしたんです」。首都圏で30年以上にわたって某訪販化粧品の女性販売員は、開口一番にこう話した。続けて、その理由について、「年齢も年齢だし、子どもに後を任せるような規模でもないし、”終活”に向けて色々整理しないといけないから」と述べた。
 ダイレクトセリング業界、特に化粧品系の分野は、市場の黎明期から女性の力に支えられて事業を拡大してきた。ドア・ツー・ドアのような従来型訪販の時代では、いわゆる「家庭の主婦」が営業活動の主役で、口コミと地道な地域での活動によって、高度経済成長からバブル期に至るまで、拡大の時代が続いた。前出の女性も団塊の世代に近く、70代前半。「はじめは、知り合いから化粧品を勧められて使い始め、そのうちに販売もやるようになった。ちょうど子どもの手がかからなくなった頃で、家計の足しにというより、自分で使えるお金が欲しかったという気持ちがあった」

(続きは2024年3月21日号参照)