ダイレクトセリング化粧品 進む「サロン戦略の再構築」

「都市部」「郊外」で目的区分
細分化したニーズを掘り起こし


 サロンビジネスは、ダイレクトセリング化粧品分野において、20年以上にわたって顧客接点やコミュニケーションの場として主流という立ち位置にあった。 コロナ禍となって一時的に営業休止を余儀なくされたが、各社はオンラインツールやアプリなどを駆使してコミュニケーションを図り、顧客との絆をつなげてきた。 昨年からはアフターコロナの機運が高まり対面でのコミュニケーションも増えたが、コロナ禍を通して変化した消費者の購買行動や価値観に合わせて、 サロンビジネスのあり方そのものを見直す動きが活発化している。「人と人のつながり」という強みを活かしつつ、サロンのスタイルをより細分化することで、ニーズの掘り起こしを図っている。

▲都市部では高付加価値型サロンの
構築を進める(ポーラ)

オンライン活用の高付加価値サロン


    ポーラはこのほど、2024年〜2026年の中期経営計画を発表した。ポーラブランドにおいては、新たなサロン戦略を立ち上げた。コロナ禍でリアル店舗への誘客のハードルが上がる中、 同社は公式アプリの導入やSNSを駆使した店舗ごとの情報発信など、主に「ポーラ ザ ビューティー(PB)」のテコ入れを進めてきた。PBは、2000年代からポーラのサロン展開、 ひいてはブランドイメージの発信拠点として活用されており、コロナ禍前までは約670店舗以上を全国に展開してきた。しかし、コロナ禍で店舗への来客が減少したことに加え、 これまでサロンビジネスを支えてきた販売員が、高齢化に伴い引退するケースが増えたことで店舗数を減らしている。2023年?月末時点では、 PBは約510店舗とコロナ禍前に比べて4分の3に減少。ポーラショップ全体は2666店舗で、同じく7割以下にまで減少している。
 中期経営計画における新サロン戦略は、立ち上げから?年を経て訴求力が低下したサロンのあり方を見直し、現代ニーズに合わせた内容へシフトする狙いがある。その中身は、 2023年4月にスタートした新メンバーシッププログラム「ポーラプレミアムパス」を基本骨子とし、オンラインとオフラインの融合(OMO)をさらに推進させるというもの。 「ポーラプレミアムパス」は、全ての販売チャネルの顧客IDを統合して、国内全ての顧客に共通のサービス体験を提供するサービス。 従来のサロンに依存したビジネスモデルでは新規顧客の獲得が困難になってきていることを踏まえ、「OMO戦略サロン」による販売網を新たに構築していくという。


(続きは2024年3月7日号参照)