シリーズ・特商法「書面電子化」 消費者庁の実態調査、訪販など5類型も対象に

「特役」限定から方針転換、「広く実態把握」
業界団体に協力依頼、ヒアリング・目視調査も


 特定商取引法の「書面電子化」規定の利用状況の実態調査をめぐり、調査範囲を限定していた消費者庁が方針を転換した。当初は特定継続的役務提供のみを対象とする予定だったが、訪問販売など他の5取引類型も含めて行う。業界団体を介した企業アンケートのほか、ヒアリング等も視野に入れている。得られたデータは、電子化規定の”施行2年後見直し”で参考とされる可能性がある。DS業界の実状を反映する調査が求められる。

▲1800万円でNTTデータ経営研究所が委託された
   「書面電子化」実態調査は、特定継続的役務提供に限定した
    調査を予定していたが、訪問販売など5取引類型も含めることに
(写真は委託公募の「仕様書」)

1800万円で委託


 「書面電子化」の実態調査は委託形式で実施。昨年10月、NTTデータ経営研究所(東京都千代田区)が一社応札により1800万円(税抜き)で落札した。調査期間は今年3月末までを予定している。  調査は事業者対象と消費者対象の2種類。前者は、アンケートとヒアリング、WEBサイト等の目視調査、覆面形式の試買調査を行うとしていた。
 アンケートは10社程度の候補から絞り込み、ヒアリングはアンケートの回答が不十分だった事業者に面会形式で実施。サイトの目視調査は、政省令が求める義務記載事項等を満たすかどうかなどを確認する。試買調査は2社程度を予定するとしていた。
 消費者調査は、回答ベースで1000人以上の規模を想定する。具体的には、契約申込等をインターネットで出来る試験的なECサイトを用意し、消費者に疑似的な購買行動を依頼。電磁的交付の手続きを体験してもらい、説明義務事項の閲覧状況や理解度などを調査するとしていた。
 得られたデータは、特定商取引法の「制度検討に活用する」(公募仕様書より)とされ、調査事業の検査を担当する消費者庁取引対策課の川崎豊課長補佐は、来年6月に訪れる“施行2年後見直し”も見据えた取り組みになるとしていた。

昨年12月、アンケ依頼


 一方、2種類の調査はいずれも、調査の範囲を特定継続的役務提供(以下特役)に限定。特役と同様に電子化が可能となった他の5取引類型を除外していた。川崎課長補佐は、覆面形式の試買調査を訪問販売等で行いづらいことなどを理由にあげたが、DS業界からは批判意見や違和感が呈されていた(23年10月19日号1面既報)。
 しかし、このほど本紙の調べで、取引対策課が方針を転換したことが判明。訪販等の5取引類型も範囲に含めて調査を行っていることが分かった。

(続きは2024年1月25日号参照)