有力企業に聞く2024年の展望 モデーアジャパン
甲斐 三晴 社長
カスタマー獲得に手応え、高い継続率が強みに
愛用会員の積極的な開拓をビジネスモデルの柱に据えるモデーアジャパン(本社・東京都港区、甲斐三晴社長)。2023年は“コロナ明け”にともなうリクルートの活発化に加えて、愛用会員の紹介による新規登録が拡大。 割引率を高めた定期購入制度と、注文継続率の高さも強みに売上を維持した。甲斐社長に話を聞いた。
(インタビュー実施日は23年12月7日)
売上の60%カスタマーから
―――23年3月に社長に就任した。就任後の取り組みを伺いたい。
「当社は〝(一般消費者の開拓・獲得を重視する)ソーシャルリテール〟を方針に掲げており、インターネットを使ってカスタマー(=愛用会員)を増やすことに取り組んできた。 この政策は、本社があるアメリカではかなり進んでいる。一方で、日本はなかなか進んでいなかった。が、今年から徐々に成果が出始めてきた。それもあって、会社の体制をよりeコマースのほうに寄せることに力を入れた」
―――アメリカは売上の8割以上をカスタマーからの注文で占めるという。日本は。
「昨年に比べると今年は大分、割合が増えた。現在は売上の約60%をカスタマーが占める。これまでの積み重ねが功を奏してきたと思う」
―――今期(=23年12月期)の売上見通しを伺いたい。
「昨年(=22年12月期)と丁度同じくらいだろう。毎年、売上を維持している」
―――業績としてどう評価するか。
「今は、MLMの業界自体が縮小傾向にある。売上を増やしていくのは、結構難しい状況。放っておけばどんどん落ちかねないという中で、それに抗って頑張れているのではないか」
―――今期の利益は。
「営業利益ベースで見ると、前半は苦戦を強いられたが、『(割引特典付き定期購入プログラムの)VIPメンバー(※1)』の値引き率の調整や製品価格の改定などによって、後半は復調傾向がみられた。 昨年と同程度を見込んでいる」
「プロダクトフェア&ミーティング」は、対面による
モチベーション向上などを踏まえ、2024年は
開催数増加を検討(写真は大阪会場のプロダクトフェア)
月新規の3割カスタマーが紹介
―――新規登録は。
「カスタマーとソーシャルマーケター(=ビジネス会員)を合わせて、毎月1000人以上。割合としてはカスタマーのほうが圧倒的に多い」
―――登録状況としての評価は。
「年間を通して見た場合、昨年対比で増加傾向がみられた点も含め評価できると思う」
―――新規が堅調に推移した理由は。
「やはり、コロナ禍が終わったことが大きいと思う。業界にとって、現場に行けるかどうかは非常に重要。コロナ明けにともなって皆が頑張りだした」
―――新規登録の主な経路は。
「カスタマーの新規については、ソーシャルマーケターによるリクルートと、カスタマーの紹介で登録するケース、それ以外のWEBサイトなどを通じて入ってくるケースの大きく3通りに分かれる。 割合としてはソーシャルマーケター経由が6、カスタマー経由が3、それ以外が1」
―――伸びている経路は。
「今年の中頃から、カスタマーによる紹介とそれ以外のルートの新規が伸びている。この2つは、会社の政策として力を入れてきた部分。それがやっと実ってきたと思う」
値上げの影響「全くなかった」
―――業績に寄与したと考える政策は。
「製品のキャンペーンやLTO(=期間・数量限定販売)の貢献度は高かった。10月に行った『マルベリーティー』のLTOは、発売から約10日で用意した数量を完売した。 同じくLTOの対象だった『プロポリス』も予想を上回る販売実績をあげた」
―――今期の製品の売れ行きは。
「売れ筋は、健康食品系だと『ミネラルソリューションズ』『ミールリプレイスメント』『ノニ ドリンク』『オメガ3』など。昨年と比べて、大きな変動はなかった」
―――既存製品のラインナップの見直しは。
「こだわるべき原料の調達が難しかったり、当社が求めるスタンダードが十分に保てないと判断した製品は、ディスコンの対象になった。しかし、売れ筋の製品でそのようなケースはない」
―――昨年に続いて今期も値上げを実施した。購買への影響は。
「多少心配したが、結果的に全くなかった」
―――理由は。
「値上げ率が2~3%と低かったことがあると思う。日本全体でインフレが進んでおり、そこまで割高感を抱かれなかったのではないか。『VIPメンバー』の値引きによるお得感もある」
―――来期(=24年12月期)の値上げの可能性は。
「今のところ、その計画はない」
(続きは2024年1月4日号参照)