シリーズ・特商法改正と消費者庁 不招請勧誘・連鎖販売の海外規制を調査
「DNK」「DNC」を想定、連鎖販売は開業規制
対象国は米・英・EU・韓、背景に相次ぐ意見書
特定商取引法で規制されている訪問販売等の不招請勧誘と連鎖販売取引について、海外諸国における規制の実態調査に消費者庁が乗り出す。 不招請勧誘は「DoNotKnock」等の勧誘拒否制度、連鎖販売は開業規制を想定。消費者庁は、各地の弁護士会や地方議会より相次ぐ意見書が呼び水となった旨を明かした。 現時点で法改正を視野に入れた具体的な動きは窺えないものの、過去の改正では類似の調査データが活用された事例もあり、注視を要しそうだ。
法制化を見送られた、「DoNotKnock」をはじめとする
特商法関連規制の海外における現状の調査に
消費者庁が乗り出す(写真は調査会資料より抜粋)
主題はデジタル 消費者問題の対応
今回、消費者庁が着手する実態調査の名称は「デジタル化に対する国内外の政府機関等における消費者取引等に係る取組状況等に関する調査」。調査は外部事業者へ委託し、 ?月?日の入札を予定する。来年3月末までに報告書がまとめられる。
調査事業のメインテーマは、インターネットおよびデジタルを用いた消費者取引にまつわるトラブルへの対処。従来の法律の枠組みでは規制や処分が困難なトラブルに対して、 海外の主要国がどのような法律で、どう対応しているかを調べ、「法に基づく取組みや対処方針の検討に活用する」(調査事業仕様書より)とされている。
具体的な調査項目に上げられているのは、・ネット取引に特化した許認可制や行為規制、行政処分などの法規制の状況・ガイドラインや指針、 宣言など法的規制以外の規制の状況・主要プラットフォーマー、事業者団体による自主規制の状況・消費者保護を目的としたデジタルツール、 AI技術の利用状況・デジタルデバイド解消、ダークパターン対策の状況など。
消費者保護のためのデジタルツール、AIの利用は、事業者にネット広告の表記の修正等を提案する機能、 ネット広告の信憑性や悪質な定期購入契約への該当性を審査して閲覧者に自動的に注意喚起する機能などが想定されている。
デジタル化の進展にともなう消費者トラブルは、昨年8月に消費者委員会のワーキンググループが報告書で論点をまとめ、消費者庁に対策を促したところ。 その後、関連トラブルの行政処分が行われるなどしてきたが、法規制のあり方自体にフォーカスした調査に乗り出す形となる。
弁護士会、地方議会意見書で改正要請
そして、この調査事業にはもう一つの柱が存在する。不招請勧誘規制と連鎖販売の開業規制に関する海外事例の調査だ。
調査事業の検査を担当する消費者庁取引対策課の川崎豊課長補佐によれば、不招請勧誘規制の調査対象には、「DoNotKnock(以下DNK)」 「DoNotCall(以下DNC)」といった制度を想定。いずれもオプトアウト型の不招請勧誘規制の仕組みで、 「DNK」は所謂〝訪問販売お断りステッカー〟に法的効果を与えるケースがよく知られる。
(続きは2023年12月21日号参照)