シリーズ・特商法 改正と消費者運動 不招請勧誘規制の「裾切り」案が浮上

契約額1~2万円なら適用除外
宅配・新聞など念頭に一律禁止 → 金額で差別に業界から「違和感」


16年改正の〝施行5年後見直し〟附則や苦情件数の高止まりなどを理由に、特定商取引法の大型改正を求める消費者関連団体の動きが活発さを増している。 このような中、団体側が〝獲得目標〟の一つに据える、訪問販売等におけるオプトアウト型の不招請勧誘規制強化で、契約金額が一定額未満であれば規制を適用しない 「裾切り」案が浮上してきた。具体的金額を条件とする適用除外規定はクーリング・オフに存在するものの、特商法全体で見れば異例。 背景には、規制の議論を一歩でも前進させたい団体側の〝軌道修正〟が窺える。

「全国連絡会」が規制運動を推進



▲オプトアウト型の不招請勧誘規制強化を
   主張する「全国連絡会」や弁護士会で、
   代金が1~2万円未満の契約を規制の
   適用から外す案が浮上している
(写真は日本弁護士連合会のパンフレット)

 16年に改正され、17年12月に施行された改正特定商取引法は、その附則で、施行から5年を経過した時点で施行状況を検討し、必要がある場合、 結果に基づいて所要の措置を講ずると規定した。昨年12月、この5年が経過。このタイミングを基点に、昨年10月に発足したのが「特商法の抜本的改正を求める全国連絡会 (以下全国連絡会)」になる。
 法規制による消費者被害の防止・抑止を求める消費者関連組織?カ所が加盟(3月時点)。古参の消費者系団体のほか適格消費者団体、弁護士会、被害弁護団などが加わるほか、 未加盟の団体・組織とも全国レベルで連携する。地方議会への請願・陳情、意見書の提出、署名・アンケートの実施、シンポジウムなどを通じて、附則に基づく〝改正運動〟 を活発化させている。
 この「全国連絡会」が法改正による〝獲得目標〟に据えているのが、①訪問販売と電話勧誘販売における実効的な不招請勧誘規制②若年被害の予防を目的とした 「マルチ」規制②デジタル時代に即した通信販売規制――の3つ。
 このうち①では、消費者から契約締結の意思がないことを示された場合、勧誘を続けることを禁じている再勧誘禁止規定の強化を掲げ、 訪販における「DoNotKnock(以下DNK)」や電話勧誘における「DoNotCall」の導入を主張。「DNK」では、いわゆる〝訪問販売お断りステッカー〟 の特商法上の効力を明確化する案などを想定する。本題の「裾切り」案は、この①で浮上してきたものだ。

4~5カ月程度の契約期間で除外も


 「裾切り」案が浮上した場所の一つは、「全国連絡会」の幹事会団体の1カ所である全国消費者行政ウォッチねっとの会合。 10月13日の13周年記念集会で事務局長の拝師徳彦弁護士から、①②③の〝獲得目標〟が改めて示されるとともに、①に関して、食事・食材の宅配サービスや新聞の宅配といった 「社会的に有用なものについてはやはり一定程度配慮する必要がある」との議論を「全国連絡会」内で行っていると述べられた。

(続きは2023年12月7日号参照)