ダイレクトセリング化粧品 注目されるメンズコスメ

価値観多様化で需要増加
若年層中心に幅広く


 メンズコスメ(男性用化粧品)は、化粧品分野の中でも長年にわたって〝未開拓の市場〟と目されてきたが、近年は状況が変化しつつある。 若年層を中心にスキンケア習慣が浸透しており、最近では中高年層においても需要が増加している。市場の変化を受けて、ダイレクトセリング化粧品分野においても、 多くの企業がメンズコスメブランドを展開するようになった。化粧水、美容液といったスキンケアラインが多いが、メイクアップラインも扱うケースもみられるようになり、 メンズコスメというカテゴリーにおいても多様化が進んでいるようだ。また、性別問わず使える「ジェンダーレスアイテム」も増えており、 市場拡大の一角を担う役割が期待される。

男性の肌考えた専用ラインナップ


▲価値観多様化を踏まえて開発した
「オッペン オム」(オッペン化粧品)
 メンズコスメ市場は近年、伸長傾向にある。富士経済がまとめたメンズコスメティックスに関する調査では、2022年の同市場規模は、前年比2.8%増の1593億円。 また、矢野経済研究所によると、男性向け美容製品・サービスに関する調査では、2022年度のメンズビューティー市場は、 コロナ禍の行動規制緩和により回復基調にあることから、市場規模は前年度比3.7%増の2100億8000万円と、いずれの調査でも拡大基調が続いている。 男性用化粧品市場は従来、スカルプケアやシェービング料といったアイテムが主体だったが、若年層~ミドル世代の男性の意識の変化が進み、 高単価のメンズシャンプー・リンスが好調なほか、外出機会の増加によってスタイリング剤や整肌料といった多くのカテゴリーで使用が増えているようだ。 特に、整肌剤では、スキンケアにおいてオールインワンやクリームなどのフェイスケアを中心に新商品が多く投入され、美容への関心の高い層を取り込んでいる。
▲男性のスキンケアを提案する
「貴族達」シリーズ(アシュラン)
 ダイレクトセリング業界でも、こうした男性のスキンケア志向の増加を受けて、メンズブランドを強化する取り組みが増えている。福岡県大野城市に本社を置くアシュランは、 会員の大半を女性が占めている。製品も、角質ケアの「マローウォッシュ」や化粧水「ラスターローション」などを展開する「アシュラン」シリーズをはじめ、 50代からの本格ケアを提案する「吉祥の光」シリーズをラインナップしている。同時に、男性用のラインナップとして「貴族達」シリーズを展開しており、 全身洗顔料、化粧水、クリーム、シャンプー、トリートメントといったアイテムを取り扱っている。もともと、同社では、 女性会員の同伴で会員の家族がイベント等に参加するケースが多くみられた。男性家族は、女性会員のサポートだけでなく、イベントの交通整理なども行い、 同社の活動にも貢献してきた。



(続きは2023年11月23日号参照)