特別インタビュー 日本ネットワークシステムズ

▲日本ネットワークシステムズ
常務取締役
 上野 敬之 氏

デジタル施策の有効活用こそコンプライアンス重視のシステム運用


 ダイレクトセリング業界では、「アフターコロナ」時代に対応したビジネスモデルが各社で進んでいる。コロナ禍では、リアル・デジタル双方を活かしたハイブリッド施策が定着した。 DX推進は、「2025年の崖」を解消するには避けて通ることのできない問題だが、老舗企業を中心にシステム変革が難航しているケースも散見される。 44年にわたって600社以上のMLM企業にシステム支援等を行ってきた日本ネットワークシステムズ(本社・宮崎県宮崎市)の常務取締役・上野敬之氏に、 「アフターコロナ」時代における企業支援のあり方について聞いた。

基幹システムで書面電子化に対応


  ―――5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが2類から5類に移行したことで、世の中の流れは一気に〝アフターコロナ〟に向けた動きが加速しています。 ダイレクトセリング市場全般において、コロナ禍の中でビジネスモデルが変化し、リアルとデジタルの双方を駆使した施策が定着しました。このような中で、 御社が現在注力しているMLM企業支援策について伺いたい。
 「コロナ禍は、MLM業界にも大きな変革をもたらしました。売り上げを維持するためのコミュニケーションツールとしてSNSを利用し、 リアルでできないことをデジタルツールでカバーし売り上げを維持しました。このようにデジタル化は、今後のビジネス環境において不可欠です」

  ―――特に、デジタルツールの導入によって、遠隔地でも手軽にイベントに参加できるようになったり、さまざまな手続きが迅速に行えるようになりました。
 「MLMでは、新規会員登録時に必須の概要書面・契約書面等の交付が電磁的方法の選択肢が増えました。2023年6月1日、 改正特商法における『法定書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる旨』の規定、並びに政省令が施行されております。 本来であれば、簡単に会員登録がWeb上から登録できそうなのですが、ただこれらを実施するには多くの要件・行為規制があり、まだ実務的には現実的ではないように思えます。 弊社は、Web上からの新規会員登録時にこれらの規定等をチェックできる内容をシステム化しご提供しています」

  ―――具体的には。
 「現在、弊社で主宰企業様向けに提供している基幹システム『MACS(マックス)』およびメンバー様向けオンラインシステムの 『e―MACS(イーマックス)』といったシステムをベースに、改正特商法に合わせたサービスを提供することで、概要書面・契約書面等の交付が電磁的方法で可能となっています。」

  ―――各社の対応は…。
 「実際に、電磁的交付に関するお問い合わせやご相談をいただいており、将来的には需要はもっと増えると思われます。コロナ禍では、消費者の購買行動にも大きな変化がありました。 その中で、業績を伸ばした業種に通信販売業があります。MLM業界においても、サブスクリプションの定着と一般愛用者の囲い込みが必要となります。 弊社はスマートフォン等を活用することで、会員にかかわらず、商品購入・サブスクリプション申し込み・代金決済がスムーズにできるシステムの強化を行い提供しています」

  ―――今後はあらゆる面でデジタル化が進んでいくと…。
(続きは2023年10月26日号参照)