国セン「社名公表」規定の運用

人材獲得に「苦戦」、弁護士・法執行経験者の募集継続


 昨年12月の法改正 で、悪質事業者の社名等を公表できる「社名 公表」規定を強化され た国民生活センター が、この権限を運用す るための人材の獲得に 苦慮している。今春よ り、弁護士や法執行の 実務経験者を募ってい るが、現時点で採用に 至っていない。公表を 検討すべき事案があれ ば既存の人員でも対応 は可能とするものの、 できる限り早期に体制 強化を図りたい考え だ。 「社名公表」規定の強 化は、旧統一教会問題 にともない政府が霊感 商法対策を迫られたこ とがきっかけ。PIO ―NETに入力された 消費生活情報(主に消 費者からの苦情)を整 理・分析して、「消費 者の生命、身体、財産 その他の重要な利益を 保護するため特に必要 がある」場合、その内 容を公表できる権限を 定めた国民生活センタ ー法・第42条第2項に、 「事業者の名称その他 の内閣府令で定める事 項を公表することがで きる」との一文を追加 した。それまで内規ど まりだった社名公表の ルールを明文化し、法 的な裏付けを与えた。  省令では、公表でき る情報として事業者の 「商号」「代表者名」 「住所」「電話番号」 などを指定。事業者が 当事者である「消費者 紛争の概要」や、該当 する紛争の「予防及び 防止に関し参考となる 事項」も公表できる。 後者の「~参考となる 事項」には、類似の消 費者被害を生じている 他の事業者の情報も含 まれ得る。  この改正法が1月に 施行されたことを受 け、国センは2023 年度事業の一環で、 「社名公表」規定の活 用を目的とする取り組 みに着手。担当部署の 予算を増やし、違法行 為の調査等に携わる人 材の採用活動を進めて きた 。  募集をかけた人材の 一つが弁護士。相談情 報の調査・分析・公表 といった主業務ととも に、「社名公表」規定 の運用を任されること になった「相談情報部」 で、「事業者による不 当行為等の改善を促す ための事業者との対 話、消費者に注意喚起 するための事業者名公 表及びそれらに関する プロセス・手続き等」 (募集要項より)を主 に担当してもらう。
(続きは2023年10月19日号参照)