ダイレクトセリング化粧品 リアル・デジタル並行施策を強化

リアル施策回帰が進行デジタルのノウハウも活用


ダイレクトセリング化粧品分野では、長年にわたって商業施設でのブース出展や、美容分野に関心をもつ異業種とのコラボレーションによるイベント企画など、販売組織以外の接点を創出し、 ブランド訴求および新規顧客の獲得する手段が盛んに行われてきた。サロン展開もまた、一般消費者の目に止まりやすい接点として有効活用されてきた。コロナ禍の中で、 人同士の〝非接触〟が推奨され、これらの施策が軒並み中止となったことで、デジタルツールを使ったオンラインイベントへのシフトが進んだ。 現在は、〝脱コロナ〟社会に向けた動きが強まっており、リアルとデジタル双方を活用したニューノーマル対応の接点創出が活発化している。

体験型店舗の刷新 新ブランド展開も

▲“宇宙発想”を取り入れた新ブランド
「コスモロジー」(ポーラ)
 ポーラは、コロナ禍以前はブランディングの一環としてさまざまなコラボレーション企画を開催してきた。コロナ禍の中では、コラボ企画の実施が難しい状況が続き、 同社は自社ブースや旗艦店「ポーラギンザ」での企画といった小規模開催での顧客接点創出を図ってきた。最高峰ブランド「B.A」では、 新たなコンセプトとして提唱した「AGEBILITY」をアピールする取り組みを行い、ブランド力強化に努めている。「AGEBILITY」は、 年齢がもたらす経験を未来の可能性に転換する能力(AGE+ABILITY)を意味する言葉で、その能力がすべての人に備わっているという考えにもとづき、 年齢を重ねることに対するネガティブな意識を、年齢を重ねることは、人生の可能性を広げていくという意識へと転換したいという想いを込めている。
 〝脱コロナ〟に向けた動きが社会全体で進む中、同社はリアル施策のテコ入れも行っている。2022年11月に東京・世田谷に開設した体験型店舗 「POLA SQUARE FUTAKO」の体験コンテンツを一新し、来店者の肌を占う「POLAのうらないお店」を9月8日にオープンした。同店舗では、 店舗内に置かれたさまざまな選択や体験をしていくことで、新たな自分の一面の発見や、普段とは異なるスキンケアアイテムとの出会いを提供している。 店内ではポーラのスキンケア品・メーク品・ボディケア品などのセルフでのお試しや購入が可能。ショップコンセプトは、「生き方に美しさを見出す」。近年、 生活に対する価値観が大きく変わり、「暮らしをほんの少し豊かにしたい」「自分を高める何かを見つけたい」と考える人が増えているという。その中で、 「美」に対する価値観も変化しているとして、「誰かのための美容ではなく、自分が心地よく、喜ぶ美容」や、「単に外見を美しくするのではなく、 自分の毎日を彩るための手段の一つとしての美容」を提案してきた。
 新たにオープンした「POLAのうらないお店」では、3つのコンテンツで構成され、さまざまな質問に答えながら巨大あみだくじを進み、導かれたおみくじを引くと、 肌の運勢やアドバイスが分かる、「うらない」体験を楽しめる内容となっているという。

(続きは2023年9月28日号参照)