「ステマ」規制が10月スタート ダイレクトセリング業界の対応は

連鎖販売会員のSNS投稿、ターゲットにも


10月1日より、ステルスマーケティング(以下ステマ)規制が始まる。主なターゲットは、商品・サービスに関するSNSの投稿やレビューサイトの口コミ。 実際は事業者による広告・宣伝なのに、一般消費者やインフルエンサーといった第三者の感想に見せかけ、広告だと判別することが困難な表示を、 不当表示として景品表示法で取り締まれるようになる。特定商取引法で厳しく縛られているダイレクトセリング市場は、景表法の適用をほぼ見ることがないものの、 連鎖販売取引などディストリビューターのSNS利用が盛んな一部業態は、今後、ステマ規制が及ぶ可能性も考えられる。

NMI宮澤代表「DSも注意、必要」

▲10月1日より、第三者の感想等に見せかけ、
   広告・宣伝と判別困難な表示は
   ステルスマーケティングとして規制が始まる
  (写真は消費者庁作成のステマ告示ガイドブックより抜粋)
 ステマ規制が浮上したのは昨年1月。アフィリエイト業界における誇大表現の規制を検討していた消費者庁の「アフィリエイト広告等に関する検討会」が最終報告書の中で、 当時の景表法では対応が難しかったステマの実態把握と排除方策の検討に言及した。
 これを受けて、不当表示全般の早期是正や消費者利益確保の観点から景表法を見直すためとして、消費者庁が同年3月に「景品表示法検討会」を設置。 議論するテーマの一つにステマを取り上げ、ステマ規制で先行するEU諸国の状況なども調べていた。
 さらに9月には、ステマ議論に絞った「ステルスマーケティングに関する検討会」を発足。このステマ検討会が?月に出した報告書で、 ステマの該当性を明らかにする告示を新たに作ることが「妥当」と求めていた。
 消費者庁は、求められた告示とその運用基準を3月に決定。?月よりステマ規制としてスタートする。
 このステマ規制について、連鎖販売取引を中心に業界の課題を分析するネットワークマーケティング研究所(略称NMI、横浜市)の宮澤政夫代表は、 「一番のターゲットはWEB通販の世界だろう。ただし、連鎖販売をはじめとするダイレクトセリングも十分に注意する必要がある」と呼びかける。

検討会報告書で連鎖販売を名指し

 理由の一つは、ステマ検討会の報告書における言及。告示および運用基準で、ステマに該当し得る「事業者による表示」の考え方に触れた箇所で、 「他法令の適用がされる場合であっても、事業者の表示と認められる実態があるものについては、他法令だけでなく本指定告示の対象となる(例えば、 特定商取引法における連鎖販売取引等。)」と注釈が入った。
 「7業態を規制対象としている特定商取引法と異なり、景品表示法の規制対象は特定の販売・商取引に限定されるものではない」 「その上で、わざわざ連鎖販売を名指しで例示していることを留意すべき」と指摘する。特商法には誇大広告禁止規定が存在するが、通信販売を除いて過去に適用事例がほとんどない点も、 景表法の出番の余地を窺わせる。

(続きは2023年9月21日号参照)