DS化粧品市場 2023年後半戦の施策 アプローチの多様化が加速

チャネル横断のフォローなど 高付加価値の投入相次ぐ


ダイレクトセリング化粧品市場では、2023年の後半戦に向けた取組みを強化している。新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが変更された5月以降、 〝アフターコロナ〟の機運が急速に高まり、あらゆる分野でコロナ禍前の賑わいに近い姿を見せるようになってきた。半面、行動制限のない今夏は、 新規感染者の増加もみられており、引き続き警戒が必要とされている。ダイレクトセリング化粧品各社は、 コロナ禍の中で培ったリアル・デジタル両施策のバランスをとりながら、多様化したニーズへの対応を急ぐ。中でも、チャネル横断の展開や、 高付加価値アイテムの投入による訴求力の強化が顕著で、需要回復を狙うケースが増加している。

顧客IDの統一化共通サービス提供

▲高付加価値アイテムで需要掘り起こしを狙う
(写真はポーラのB.AグランラグゼⅣ)
 ポーラは、直近の2023年12月期第2四半期において、ポーラブランドは売上高が同10.4%増の497億6300万円、 営業利益が同43.2%増の70億1200万円となった。ポーラブランドでは、国内事業では、オンラインとオフラインのチャネル融合を推進、 各チャネルの特性や強みを活かした施策を展開している。特に力を入れているのは、顧客への柔軟なアプローチの構築で、2023年4月から「ポーラプレミアムパス」を導入した。 すべての販売チャネルの顧客IDを統合、国内すべての顧客に共通のサービス体験を提供する施策を実施している。コロナ禍では、ECチャネルの売上が増加した一方、 主力の委託販売チャネルでは苦戦が続いた。第2四半期における販売チャネル別の売上構成比は、委託販売が62.1%、ECが6.5%、 百貨店・B to Bが13.4%、海外が18.0%。売上伸長率は、委託販売が1.5%増、ECが21.6%増、百貨店・B to Bが28.3%増、海外が32.6%増。
 現在、ポーラ・ザ・ビューティーなどの店舗では、SNSを活用した情報発信などによって顧客フォローを行ってきたが、「ポーラプレミアムパス」では、 販売チャネルを横断した仕組みを構築することで、サービス体験の格差を解消、同時に綿密なフォローする狙いがある。第3四半期以降は、 ポーラブランドでは国内において新規顧客獲得に向けて、オンライン広告、SNSをはじめとするデジタルツールを活用した情報発信を強化し、 デジタルを中心に顧客接点の拡大を図る。また、「B.Aスターターキット」など、ブランドエントリーのきっかけとなるキット品を投入して体験意欲を喚起する。 既存顧客に対してはエステを軸にした来店促進を行うほか、10月には約8万円の高級美容液「B.AグランラグゼⅣ」を投入する。EC顧客には、 エステ体験会を提供してリアル施策での訴求を図る。海外では、中国大陸で「B.Aミルクフォーム」での新規顧客獲得を進めるほか、10月にインドネシアに出店し、 アジア地域での攻勢を強める構えだ。

〝アフターコロナ〟で需要回復に期待

 高付加価値アイテムの投入は、このところ各社で顕著にみられるようになってきた。日本メナード化粧品は9月21日、 シワ改善効果の承認を受けた有効成分「VEP―M」を日本で初めて配合した美容液「薬用ラインズリセット」を発売する。〝シワ改善〟を訴求力としたアイテムといえば、 ポーラの「リンクルショット」シリーズが大ヒットを達成し、その後も各社が独自のアプローチによって新商品を開発してきた。 メナードでは、2021年にオリジナル成分「VEP―M」において、シワを改善する効果の承認を取得し、新美容液に配合した。濃密な使い心地が特徴で、 肌悩みの上位にランクインするシワに対してアプローチする。

(続きは2023年8月24日号参照)