NMI・宮澤政夫代表インタビュー ② 再考・連鎖販売取引 「勧誘」「登録」のあり方は
違反トラブルを抑止、課題は手続きの複雑化
宮澤 政夫代表
―――氏名等明示義務を定めた特商法第33条の2を徹底することの意味と、現場に遵守させるためのアイデアとして、会員登録時におけるカードや手帳の配布、 「会員証明書」の交付、研修等における「勧誘に先立つ説明」の朗読、暗唱などをうかがった。カードや手帳、証明書は物理的な媒体を想定するのか、 あるいはデジタル媒体も含むか。
「4月より自主規制を強化した日本アムウェイが、『アムウェイご紹介カード』と呼ぶデジタル方式のカードのLinkを電子メール等で被勧誘者に提示する仕組みを始めたと聞いている。 それで、デジタル方式への関心を強めている企業は増えているのかもしれない。私も関心を寄せている。
ただ、注意したいのは、デジタルでなければ出来ないとか効果がないという試みではないということ。紙媒体などのアナログな方式でまったく構わない。 安易にデジタルにこだわってしまうと、『やるためのお金がない』とか『そこまでやる必要はない』といった話になって取り組みが進まない」
―――法令違反の排除や持続的成長のため、ほかにどのような方策が勧誘・登録のプロセスにおいて考えられるか。
「商品を推奨するプロセスと、ネットワークマーケティング(MLM、連鎖販売取引)のビジネスへ勧誘するプロセスを分離する方法がある。 消費者に対する最初のアプローチでは商品を推奨し、『愛用者会員』としての登録を勧める。その後、一定の時間と商品の体験を経てから、改めて『ビジネス会員』に勧誘する。
このような形で、新規登録の形態を『愛用者会員』に限定し、一定の要件を満たして『ビジネス会員』になってもらう二段階方式の勧誘・登録プロセスは、 アイデアとしては新しいものではない。業界の大手を含む複数の会社が採用してきたし、アムウェイ社も4月から始めた。
ネットワークマーケティングの『ビジネス会員』はすべての人がなれるものではない。商品の愛用者だった人が、自分を誘ってくれた人のビジネスの様子を見たり話を聞いたりするうちに、 『自分にもできそう』『やってみたい』と思い、『ビジネス会員』になるというルートが本来の姿だと思う」
―――二段階方式の利点をあげると。
(続きは2023年8月10日号参照)