ダイレクトセリング化粧品 リアル・デジタル両軸が定着

リアル体験など施策強化
〝おうち美容〟トレンドも継続


新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に以降して以降、〝アフターコロナ〟に向けた動きが加速している。 半面、この夏は新規感染者数が依然として増加傾向にあり、引き続き注意を要する状況にある。ダイレクト化粧品市場では、 コロナ禍でニューノーマルに対応したビジネスモデルを構築してきた。サロンを軸としたリアル展開と、 ECなど新規顧客にアプローチしやすいチャネルとの融合を進めた。現在も、リアルとデジタルを融合した施策を強化する動きは続いており、 販売チャネルを横断した顧客アプローチ&フォローの体制が進められている。消費者の価値観やニーズは多様化の一途を辿っており、 企業側にも柔軟な姿勢が求められている。

〝脱コロナ〟で回復基調に

  表は、本紙が2023年7月に実施した「第74回ダイレクトセリング実施企業売上高ランキング調査」をベースに、 化粧品を主力商品とするダイレクトセリング(=DS)企業42社の直近実績をまとめたもの。42社のうち、 ヤクルト本社は単体ベースの化粧品事業の売上高を「前期売上高」として掲載している。直近業績の増減率をみると、 「増収」が9社(前年同期は4社)、「横ばい」が16社(同16社)、「減収」が16社(同19社)となった。 「増収」とした企業が増えた一方で、「減収」とした企業が減っており、 ニューノーマルに対応した社会経済活動がコロナ禍の3年間で定着したことを背景に、業績面でも回復傾向がみられることが窺える。
 42社のうち、エステサロンや地域密着型の店舗といったビジネスモデルを展開している企業は19社となっており、 約45%の企業がサロンビジネスを導入している。対面型のカウンセリング販売として20年以上にわたって業界に浸透してきたサロンビジネスは、 コロナ禍において、「人と人の接触による感染リスク」という想定外の事態が発生したことで、一時は店舗休業を余儀なくされた。 新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行した現在は、引き続き十全な感染防止対策を講じて安全性を確保しながら通常営業を行っている。 オンラインによる事前カウンセリングやバーチャルメーク、ビデオ会議ツールを用いたイベントや講習など、 コロナ禍を通して誕生したデジタル・リアル双方のメリットを活用した施策は、 〝アフターコロナ〟の機運が高まり対面での接触が増えた現在においても有効活用されている。サロンビジネスは、 従来型訪販の課題であったビジネス現場の不透明性に対し、地域に密着したオープン型の店舗を構えることで「見える化」を進め、 新規ユーザーの間口を広げてきた。ユーザーの価値観も大きく変化し、アプローチもニーズに合わせて多様化が進んでいる。

(続きは2023年8月10日号参照)