NMI・宮澤政夫代表インタビュー ① 再考・連鎖販売取引 「勧誘」「登録」のあり方は

特商法第33条の2(氏名等の明示義務)、〝前置き〟規定に非ず
主宰企業と勧誘者「法令遵守の約束作りを」

▲ネットワークマーケティング研究所 
  宮澤 政夫代表
  昨年、国内MLMマーケットを揺るがした特定商取引法に基づく日本アムウェイの行政処分。連鎖販売取引事業の一部停止期間を終えた今年4月より、 処分で認定された違法行為の排除等を目的に、過去にほぼ例をみない自主規制の運用を始めた。このような中、 従来の勧誘・登録プロセスを抜本から見直すことへの関心が他社の間にも窺える。特商法の要求事項をクリアしつつ、事業の成長を図るには、どのような策を考えられるのか。 連鎖販売を中心に業界の課題を分析するネットワークマーケティング研究所(NMI、横浜市)の宮澤政夫代表に話を聞いた。

アムウェイの自主規制「大きな関心」

  ―――日本アムウェイの行政処分と同社が新たな自主規制を始めたことを契機に、業界で、特商法の遵守や持続的成長の観点から、 勧誘、登録のあり方を見直すことへの関心が高まっている。
 「まず、アムウェイ社が始めた自主規制の具体的な部分について、個別の論評は控えたい。取り組みの中身を完全に理解しているとは言い難いし、 公の場で特定の企業の政策に口をさしはさむことは以前から行っていない。
 ただ、大きな関心を抱いてはいるし、特商法を守っていく上で業界に共通の課題を改めて考えるきっかけとなったことは事実。業界にとっての有効策を議論していく上で、 その糸口となる私見をまとめるにあたり、参考とさせてもらった」

  ―――これからの連鎖販売取引には、どのような勧誘、登録のプロセスが求められると考えるか。
 「ネットワークマーケティング(MLM、連鎖販売取引)は、消費財を長期的に愛用してくれる顧客がいてこそ成り立つ。この大前提を貫くため、 特商法をはじめとする法令の遵守が優先される。この点は、業界全体がコンセンサスとして共有していると思う。
 だが、旧訪問販売法が制定されて50年近く経ち、連鎖販売が規制の対象とされて35年が経過するのに、いまだに法令違反の処分や摘発がなくなっていない。 この問題を解くカギの一つは、勧誘のあり方を見直すことにあると思う」

 
業界に軽視の風潮後の違反と関係

―――具体的には。
 「連鎖販売の処分状況で明らかなのは、もっとも多く認定されている違反行為が特商法第33条の2、氏名等の明示違反であること。 100の処分が行われれば98~99の処分で適用されている。昨年のアムウェイ社の処分でも認定された。
 
 
(続きは2023年8月3日号参照)