ダイレクトセリング化粧品 ハイブランド強化の機運高まる

アフターコロナ≠追い風に
独自性訴求、海外市場も視野


化粧品分野では、コロナ禍前から、高機能・高付加価値アイテムが美容に高い関心をもつ層から支持されるのと同時に、 1品で多機能を担うアイテムに代表されるようなコストパフォーマンスに優れた化粧品が、セルフ市場を中心に根強い支持を集めている。 ダイレクトセリング化粧品市場では、コロナ禍の中でリアルとデジタルを駆使したさまざまなサービスが生まれた。おうち美容≠焉A コロナ禍の中注目を集めたトレンドで、自宅で満足感の高いケアができる製品の投入が、行動制限がなくなった現在においても幅広い世代から人気を博している。 アフターコロナ≠フ機運が高まる中、消費回復を追い風に高付加価値化粧品のラインナップを強化する動きが強まっている。

和テイスト≠フ高級美容液

▲「静の時間」をコンセプトとする
   「B.AグランラグゼW」(ポーラ)
 ポーラは、最高峰ブランド「B.A」から、新美容液「B.AグランラグゼW」(50グラム・税込7万9200円)を10月1日発売する。「B.A」は、 美容に高い関心をもつコアユーザーをメーンターゲットに想定した高価格帯ブランドで、スキンケア、メークアップともに人気があるラインナップ。 「グランラグゼ」シリーズは、2006年に誕生した美容液で、「その当時、ポーラができうるすべてを形にした美容液」というコンセプトによって、 さまざまな高機能成分が盛り込まれてきた。2013年、2019年と2回のリニューアルを経て、今回は4代目を投入する運びとなった。 アフターコロナ≠フトレンドが強まり、さまざまな分野で消費回復へ期待がかかる中、1本約8万円≠ニいう高価格帯アイテムを投入した背景には、 国内需要だけでなく、中国をはじめとした海外市場で攻勢をかける狙いもあるとみられる。
 リューアルごとに最新の研究成果をフィードバックしてきた「グランラグゼ」だが、「グランラグゼW」では、「バイオアクティブのパラダイムシフト」に着目。 「G0バイオアクティブ理論」を採用し、肌の細胞が分裂を休止している「G0期」において、産生が高まるコラーゲン(コラーゲン6)を活性化させるという。 ポーラオリジナル複合成分として、「姫蒲G0エキス」(ヒメガマ穂エキスとカミツレ花エキスの複合成分)を配合、肌の「静の時間」 にアプローチしてコラーゲン6の産生を促進して、肌のリフトアップと輝きをもたらすという。
 使い心地は、「まどろむように溶け込み、肌もこころもほぐしてハリ上げる」というフレーズで表現。香りは、「静の時間」をイメージし、 瞬時に没入するような大自然を感じることのできる土の香りをコンセプトとしている。 植物などを伐採したり傷つけたりせずに香りを採取・分析して合成香料で再調香する「ヘッドスペース法」によって、人の手が加わっていない、 箱根の森にあるリアルな土の香り成分を採取した。
 包装は、一般的な箱型のパッケージではなく、日本古来からの折って包む&カ化を取り入れた。1枚の紙を計算した折り方によって手作業で包んでおり、 独自性だけでなく、廃棄される包材のミニマム化も両立。次世代ラグジュアリーの包装≠ニして位置づけている。 和≠イメージさせるパッケージを採用している点も、同アイテムのマーケットとして海外を想定していることが窺える。このほか、 生物由来のインクや植物由来のPET、森林認証紙、WEBパンフレットを採用し、SDGsの観点から社会・地球環境改善への取組みも盛り込んだ。

(続きは2023年7月20日号参照)