消費者庁の特商法執行 「特定関係法人」含む処分、初の着手

業務禁止命じた 代表に関係会社での業務停止も命令
昨年6月に改正法施行、禁止命令の抜け穴≠モさぐ


 6月28日に消費者庁が発表した、WEB通販会社に対する特定商取引法の行政処分が業界関係者の注目を集めている。 1年前に導入された「定期購入商法」規制の適用と、処分の範囲に「特定関係法人」が含まれたことが理由だ。特に後者は、 通販業務の禁止を命じた人物に関係会社で同じ業務に携わることの停止を命じる内容で、業務禁止命令のインパクトを大きく高めている。停止命令は、 関係会社による違法行為の有無とは無関係に出すことができる点からも、脅威に捉えられている。

定期購入の誤認表示規制、初適用

▲特商法の定期購入規制違反を認定した
   WEB通販会社の代表取締役に対して、
   業務禁止命令と同時に、「特定関係法人」
   とみなした関係会社で通販業務に携わる
   ことの停止も命じた
  (写真は関係会社のWEBサイト)
 消費者庁が特定商取引法で処分したのは、ヘアケア用品やサプリメントのWEB通販を行っていた「LIT」(以下L社、所在地・東京都目黒区)。 12月27日までの6カ月間、通販業務に関する広告、契約申込の受付・契約締結の停止を命じた(ほかに指示)。
 認定した違法行為は、定期購入ではないと誤認させる表示と契約解除を妨げる不実告知の二つ。いずれも、昨年6月に施行された改正特商法において、 社会問題化していた「定期購入商法」に歯止めをかける目的で新設された行為規制になる。
 同庁によれば、L社は、運営するショッピングサイトの注文申込の最終確認画面で、定期購入の初回価格を赤字で大きく990円≠ニ強調する一方、 2回目以降の価格や解約条件などは画面をスクロールしないと見られな場所に小さな文字で表示。解約専用フォームは、クリックすると商品が既に発送準備中 キャンセルをお受け出来かねます∞次回発送分の商品から解約可能≠ネどと表示されていた。
 PIO―NET集計の関連相談件数は、20年1月〜今年5月末の約3年半で計4706件。今年4〜5月の2カ月だけでも779件に達していたという。

改正法の政省令で子会社など例示

 一方、今回の処分では、L社の代表取締役だった「中村智紀」に対する業務禁止も命令。L社の停止期間と同じ6カ月間、 広告等の通販関連業務を新たに行うことや、通販事業を行う会社の「役員」になることを禁じた。 この業務禁止命令は17年12月の導入。 これ以降に特商法で処分された会社のほとんどは、業務停止を命じられると同時に、 会社の代表といった主導的役割を果たしていた人物に対する禁止命令をセットで出されてきた。
 ただし、今回のL社の処分で出された禁止命令は、従来のものと様相を異にしている。業務禁止を命じたL社の代表に対して、 L社の「特定関係法人」に該当すると判断された「LIT INNOVATION」(以下LI社、東京都港区)においても、 広告等の通販業務に携わることの停止を命じたからだ。
 「特定関係法人」に関する規定は、「定期購入商法」規制と同じく、昨年6月施行の改正特商法で導入。やはり、適用は初めてとなる。

(続きは2023年7月13日号参照)