ダイレクトセリング化粧品 多角化する「ジェンダー平等」の取り組み

「女性の活躍推進」、他分野に先駆け
制度導入や製品開発の場で


 世界経済フォーラムがこのほど発表した2023年版の「ジェンダーギャップ・レポート」によると、日本は146カ国中125位と、 昨年の116位から大きく後退する結果が示された。政治分野では138位、経済分野では123位と低空飛行を続けており、男女平等の達成率は64.7%と、 昨年より0.3?低下した。あらゆる分野でジェンダー平等は大きな課題となっているが、ダイレクトセリング化粧品分野では、 他の分野に先駆けて女性の力によって市場を形成してきた。近年はさらなる環境整備が進み、さまざまな制度が導入されているほか、 ものづくりの現場にも「ジェンダーレス」「ジェンダー平等」の考え方が浸透する動きがみられる。

▲小中学生への啓発活動も行う(ポーラ)

啓発の取り組み 外部との連携も

 最大手のポーラでは、サステナビリティ方針を策定し、2029年までのSDGsの目標数値を設定。ジェンダー、年齢、地域格差、さまざまな「壁」の解消を掲げ、 地域のオーナーや地方自治体の協業などを強化するとともに、女性管理職比率の男女同等、美容職のダイバーシティ推進、育休取得率の男女100%取得をめざしている。 2020年1月、初の女性トップとして及川美紀社長が就任し、話題を呼んだ。同社はそれ以前からブランド戦略や企業文化、働き方改革などに着手してきたが、 この歩みをさらに進める方針で、2029年までに女性役員比率を30%~50%に、女性管理職比率を50%以上にそれぞれ引き上げる目標を定めている。
 こうした取り組みが評価され、東京都が実施する「令和4年度東京都女性活躍推進大賞」の産業分野において、大賞を受賞した。
 若年層に対して、「ジェンダー平等」を知ってもらう取り組みも行っている。昨年は、任意団体「GENCOURAGE」主催のサードプレイス「ジェンカレ」に協力し、 「ビジネスにおける女性のリーダーシップ」に関する講座で及川社長がオンライン形式で講演を行った。また、朝日新聞社とともに、冊子「10代のためのジェンダーの授業」を作成し、 教材「おしごと年鑑」に同梱されるかたちで全国の小中学校約3万校に寄贈した。

(続きは2023年7月6日号参照)