消費者庁の特商法執行 行政指導、「工程表」でKPI設けず
指導の大半はネット通販、処分を優先
6月13日に改定された「工程表」で、 特定商取引法の執行強化に関する〝達成目標〟の一つに消費者被害の推計額を新たに盛り込んだ「消費者基本計画」。 業界にとっては、従来よりKPIとされてきた行政処分件数とともに、今後の法執行の行方を見定めるための材料の一つになり得そうだ。一方で、 法執行における重要なファクターでありながら、KPIとしては見送られたものがある。何かといえば、行政指導の件数だ。
23年度版の「工程表」は重点施策として14のテーマを設定。法執行関連は、特商法のほかに景品表示法をとりあげ、この厳正な運用と執行体制の拡充を目指している。 活動目標としてのKPIは3つを指定。この中には、景表法に基づく措置命令と課徴金の納付命令、行政指導の各件数が含まれている(他の2つは担当者研修の回数と受講者数)。 しかし特商法の「工程表」は、活動目標にこそ行政指導を含めているが、KPIの設定は行っていない。
特商法を所管する取引対策課の説明によれば、行政指導にKPIを設けていない理由は大きく2つ。現状の指導対象の大半をインターネット通信販売で占めることと、 指導より行政処分が優先されることだという。
取引対策課の特商法に基づくネット通販の取り締まりは近年、「インターネット通信販売等適正化事業」として民間へ委託して実施(図参照)。 21年度までは一般財団法人日本産業協会に、22年度からはイー・ガーディアン(東京都港区)へ委託している。事業には調査ノルマを設け、18年度までは年7200件以上を要請。 これを19年度には、ほぼ倍の1万5000件以上に引き上げた。
(続きは2023年6月22日号参照)