ナリス化粧品 水分・油分両方を肌に届ける製剤

=特許出願済の新技術確立=
1アイテムで複数ケアの保湿効果


 ナリス化粧品(本社・大阪市福島区、村岡弘義社長)はこのほど、1つのアイテムで複数のスキンケアステップを重ねたような保湿感を得られる製剤の開発方法を確立した。 同方法は、2020年10月に開催された化粧品の国際学会「IFSCC Congress」で発表した、肌の保湿のメカニズムの解明を元に製剤化に繋げたもので、 特許出願済み(出願番号・特願2023―053181号)。
 スキンケアにおいては、化粧水で水分を肌に浸透させた後に、乳液やクリームなどの油分で密封し、潤いを逃がさない複数のステップを重ねることが一般的。ナリス化粧品では、 これまでの研究において、化粧品を構成する水分や油分が、肌に塗布した後にどのように肌に浸透するかを解明。乳液を肌に塗布すると油分と水分が層状に分かれ、 油分の方が先に肌に浸透してしまうが、これは、人の肌の生理に則したもので、親水性が低く親油性が高いためだという。また、油分が先に浸透することで、 水分が肌に浸透することを遮ってしまうことも明らかになっている。
 同社では、乳液に粘土鉱物のベントナイトを配合することと、オリジナルの高圧処理技術を融合させることで、油分が水分の肌への浸透を遮ることなく、混ざり合って、 肌に浸透する乳液製剤の開発に成功。高圧処理化することで、サラサラの液状になるため、粘度による塗布時のべたつき感も少なく、通常の乳液や、 オールインワンゲルよりも高い保湿感のある乳液製剤を開発することに成功し手法を確立した。これにより、 スキンケアの複数のステップを重ねるようなスキンケアが1品で行えるという。
 同社では、多くの役割を担い忙しい女性が増える中、オールインワンゲルなど1品でスキンケアが完了するアイテムは多くの女性の支持を得ているとして、 時間を提供するだけでなく、スキンケア効果の満足度を提供することで、生活の豊かさを提供するような研究を続けていきたいとしている。

 ナリス化粧品「IFSCC Congress 2020」で発表したのは、発表タイトル、「角質水分量向上のための新規粘土増粘大固形油エマルション」(和名)で、 発表者は、ナリス化粧品の伊達正剛氏、高田広之氏、森田美穂氏、京都大学生物センシング工学研究室の小川雄一氏。
 同研究では、化粧品を構成する水分・油分が、肌に塗布した後の肌への浸透、肌の上での留まり方を解明。これらの結果を踏まえ、肌内部に潤いを届ける方法と、 肌表面で潤いの蒸散を防ぎ、長時間保持する方法を見出した。乳液は水分と油分を含み、うるおいの供給と維持の両方の働きが期待される。一方で、一般的な乳液では、 塗布すると油分が肌側、水分がその外側と二層に分かれてしまうことが分かった。

(続きは2023年6月22日号参照)