日本訪問販売協会の2023年度事業 入会時の「基金」拠出金、3分の1に減額

制度見直しも、一部は3月理事会で決議
「JDSA登録証」はデジタル化を検討

  日本訪問販売協会(事務局・東京都新宿区、竹永美紀会長)は6月7日の通常総会(会場=フォレストテラス明治神宮)で、入会促進などを目的に、 加盟社へ求める「訪問販売消費者救済基金(以下救済基金)」の拠出金の減額などを決議した。総会で報告した23年度事業計画は、 「救済基金」の見直しや販売員教育制度の登録証デジタル化の検討などを盛り込んだ。総会では22年度決算報告や役員改選も決議。 新理事は川口路広氏(KTCホールディングス営業本部副本部長)、高畑則雄氏(シャルレ取締役)、小田井正樹氏(協会事務局長)の3人を選任した(役員一覧は表参照)。

ジャ社被害者給付 支出総額は12百万

 「救済基金」は09年の設置以来、制度の原資に充てるため、新規入会企業に対して一律60万円の負担を求めてきた。総会の決議では、これを3分の1の20万円に引き下げた (6月7日より適用)。改定案では、原資の額が1億円規模を維持しており「安定的かつ円滑な運営が可能な状況」で、「中小零細事業者が加入しやすい環境整備の一環」 として引き下げるとされた。23年3月末時点の積立額は1億561万1267円。
 拠出金の引き下げ案は、17年に協会の総務委員会で合意。しかし、「ジャパンライフ」事件とその被害者による「救済基金」の利用申請が相次ぐ事態を受け、棚上げされていた。
 その後、今年1月末までに、第三者機関の「消費者救済に係る審査委員会」で積立金からの給付を妥当とされた案件のうち、 理事会で決議された21件(契約件数ベース)に給付を実施。これを受けて、引き下げ案が再浮上していた。
 協会事務局は21件の給付額を公表していないが、3月末の積立金は前年度比で1200万9160円の減少。同金額のほとんどが被害者への給付に充当されたとみられる (ほかは審査委員会の開催費など)。

「基金」の見直し「時間かけてやる」

 総務委員会で着手する「救済基金」の見直しの検討は、各種手続きを定めた「業務実施方法書」と「事務細則」が対象。ジャ社事件を発端とした「救済基金」の利用申請では、 申請数が推定で数千件に達し、処理期間が5年という長期に及んだことから、この前例を踏まえた検討が行われる模様。

(続きは2023年6月15日号参照)