アシュランの〝見せる〟施策 地域密着で事業透明性向上
創業29年 充実した関連施設一般利用も想定、「社会へ還元」
スキンケア化粧品などを展開するアシュラン(本社・福岡県大野城市、東孝昭社長)は、2024年3月に29周年を迎える老舗化粧品企業だ。
企業の盛衰が激しいダイレクトセリング業界において、長年にわたって事業を継続するのは決して容易なことではない。このビジネスにおいて、特に重要なのは、信頼性、透明性だ。
アシュランでは、これらのキーワードにもとづき、会員だけでなく、業界の内外、さらには地域に開かれた企業としてその地位を築いてきた。中でも、
福岡県大野城市の本社敷地やその周辺には、「見せる施設」「見える施設」というコンセプトでさまざまな施設を開設しており、
地域のランドマーク的な存在として親しまれるようになっている。
▲〝グランドエンパイアホテル外観〝
環境と調和した1万5千坪の敷地
JR九州鹿児島本線「大野城駅」から車で数分、閑静な住宅街の中に続く緩やかな坂を走ると、大野城市が管理する「三兼池公園」に続いて、
アシュラン本社を擁する広大な敷地が見えてくる。その面積は1万5000坪(約5万平方メートル)で、周辺環境との調和を意識した緑豊かな風景が目を引く。
敷地の中には、本社(事務棟)をはじめ、配送センター、セミナー棟、約500羽の鳥たちが飼育されているバードハウス、東社長・副社長夫妻が長年収集してきた美術品を収蔵する
「アシュラン美術館」、本格的なタイ伝統古式ボディマッサージなどを提供するスパハウス「テルマアル」、4月に移設・リニューアルしたばかりのベーカリー&カフェ
「ルコネッサン」と、多様な施設が用意されている。
また、各施設で働くスタッフの子どもたちが入園する託児施設「ふくろう園」(鳥栖工場、関東支店にも併設)も敷地内にあり、昼には、親と一緒に食事をすることもできるほか、
東社長・副社長夫妻も子どもたちと食事を共にすることもあり、ビジネスの場でありながら、アットホームな雰囲気に包まれているのが特徴的だ。
▲〝高品質な設備とサービスが評判
(写真はホテルロビー)〝
高品質なサービス提供するホテル
アシュランの施設は、本社敷地内だけではない。本社敷地から県道31号線を挟んだ場所に大きくそびえ立つのは、「グランドエンパイアホテル」で、124室の客室、レストラン、
宴会場、ラウンジと、宿泊施設に求められるすべてのニーズに応えられる機能を有する大規模施設だ。外観は、同社の他の施設同様、アシュランのスキンケア化粧品容器ともリンクし、
統一感を感じさせるものとなっている。ホテル施設は、アシュランの会員も利用もしており、本社でセミナー等のイベントがある場合には、
アクセスの良い宿泊施設として活用されている。同時に、一般の利用の方も多く、スポーツ関係や医療関係など、さまざまなシーンで活用されているという。
太宰府天満宮や九州国立博物館、福岡タワー、鳥栖プレミアムアウトレットなど、観光面でも利用しやすい立地にある。
宿泊施設としての特徴はいくつもあるが、分かりやすいのは、一般的なホテルに比べて廊下や客室などがゆとりをもって設計されていることだ。これは、設備が狭いと、
大荷物で移動してきた宿泊客がすれ違えず、特に車いす利用の場合は不便な思いをしてしまうという配慮から、それぞれが広めに設計された。客室は「エンパイアツイン」
「エンパイアキング」「エンパイアスイート」のほか、200平方メートル以上の広さを誇る「グランドスイート」があり、それぞれ快適な空間を提供している。例えば、
最も部屋数が多い「エンパイアツイン」では、パウダールームに2つの洗面台が用意されているが、これは、「ツインルームで洗面台が1つしかないと不便なことがある」という、
化粧品企業ならではの心遣いのあらわれだ。客室の床はフローリングが採用されており、ホコリなどでアレルギーを起こさないよう配慮されている。
サッカーチームなど大勢の利用も
これらの他のホテルにみられない特徴は、一般利用だけでなく、特定の目的で利用する場合にも好評を博しているという。例えば、
2021年6月にはサッカーU―?代表対ガーナ代表の試合が福岡市にあるベスト電器スタジアムで開催された際には、代表選手の宿泊施設として利用された。また、
佐賀県鳥栖市を拠点とするJ1チーム「サガン鳥栖」の試合時や、さまざまなスポーツチームの拠点として活用されている。これは、
周辺に大人数を収容できる宿泊施設が少ないことに加え、広い廊下や客室が、大荷物で移動したり、
自室でトレーニングやメンテナンスを行うスポーツ選手にとって利用しやすいという理由があるからだ。こうした利用状況を踏まえ、より快適な環境で施設が利用できるよう、
地下1階にトレーニングルームを設置した。
▲〝約500羽が飼育されている
「バードハウス」〝
また、本社敷地内にあったレストラン「アンテェナアト」は、現在はグランドエンパイアホテル内の施設として営業している。
九州産の厳選素材を使ったメニューと、ハイグレードな食器や調度品で、利用者に〝特別な時間〟を提供している。
鉄板焼き「緑亭」は打ち合わせや会合などで利用されることも多いという。6月には、開放的な見晴らしの良いテラスで飲食を楽しめる「ガーデンテラス椿寿閣」
が期間限定でオープン(9月30日まで)。〝アフターコロナ〟の機運が高まっている現在、多くの利用が見込まれる。
「グランドエンパイアホテル」は、このほかにも、300人を収容できる大宴会場「インペリアルホール」、中宴会場「サファイアⅠ・Ⅱ」や、ラウンジ「オパールクラブルーム」
「ロイヤルクラブルーム」といった施設が完備されており、ブライダルや宴会、各種イベントなどさまざまなニーズに対応している。施設の設備、調度品、提供される食事、
サービスに至るまでハイグレードな品質であることが特徴的だが、これらの取り組みにも、「会員や地域に還元する」というアシュランの理念が窺える。
開放的な敷地一般利用多く
▲〝ランチビュッフェが好評な
ベーカリー&カフェ「ルコネッサン」〝
前出の理念にもとづき、バードハウスやベーカリー&カフェ、美術館などの各施設は一般にも開放されており、会員だけでなく誰でも利用することができる。
さまざまな種類の鳥を飼育しているバードハウスは、地域の学校の社会科見学などで活用されることもあるほか、
前出の「三兼池公園」で遊んだファミリーがバードハウス見学に訪れるなど、地域に密着した施設として親しまれているようだ。
ベーカリー&カフェ「ルコネッサン」は、水を1滴も使わずに仕上げた、風味豊かなデニッシュパンが評判だ。建物の2階はカフェで、広々とした開放的な空間が印象的。
九州産の食材をはじめ、こだわりの料理が評判。メニューは、季節に合わせてその日に仕入れた素材によって決められるが、子どもからお年寄りまで食べやすい内容で、
近隣住民の利用も多いという。
(続きは2023年6月15日号参照)