国センの23年度事業 DR…書面の郵送 → クラウドで可能に

相談業務 … 休日・経由相談の人員を増員
DX推進 … 消センと意見交換、AI研究も

 国民生活センターは2023年度事業において、ADRの強化や相談業務の増員、DX推進にも着手する。関連予算は前年度に対して計10億円超を上積みした。

 ADRの事業予算は前年度より2億1900万円多い、3億7000万円を計上。増額分のほとんどは、クラウドサービスを利用したオンラインシステムの構築に充当される。 現在、郵送でやり取りされている紙ベースの書面・書類について、電子化したデータをクラウド上で処理できるようにすることで、業務効率化を図るという。
 また、1月に施行された改正国セン法は、「社名公表」ルールを明文化しただけでなく、ADR関連の規定も整備。 ADRの主業務である和解の仲介・仲裁手続きを国センが「計画的に実施」する義務と、消費者と事業者の両当事者がその実施に「協力するものとする」と定めた。
 このことを踏まえ、ADRの迅速な審理を目的に、旧省令が努力義務に求めていた原則4カ月以内の手続き終了期間を3カ月以内に短縮した(当事者間の合意がある場合を除く)。
 終了までの期間を3カ月以内とされたことを受け、国センが3月にまとめた中期計画は、目標日数を平均90日以内と指定(旧計画は95日)。 ただ、実際の平均処理日数は21年度の時点で目標に近い93.3日をすでにクリア。60%以上を目標とした和解率も21年度で70.6%に達している。  事業計画書で推進の方針が盛り込まれたADR期日のオンライン開催も、コロナ禍にともない、すでにほとんどがオンラインで実施されているという。

 2億600万円増の5億1900万円を計上した相談事業は、「社名公表」規定に関わる人員の採用だけでなく、相談業務に携わる相談員の増員を図っていく。

(続きは2023年5月25日号参照)