ダイレクトセリング化粧品 業績面では一進一退続く

顧客接点への柔軟な対応こそ 〝アフターコロナ〟で追い風も

 大型連休明けに新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが2類から5類に移行し、〝アフターコロナ〟に向けた動きが加速している。この3年間、 さまざまなかたちで制約を受けてきた社会経済活動も、徐々に活性化しつつある。ダイレクトセリング化粧品市場では、 コロナ禍の中で培ってきたデジタルツールを活用したオンラン施策と、もともと得意としてきたリアル施策を組み合わせたハイブリッド施策による盛り返しの取組みがみられる。 商品政策では、〝脱マスク〟の流れも強まっており、スキンケアやメーク品の復調にも期待感がかかる。足元の業績についてはコロナ禍の苦境を脱しつつあるものの、 一進一退が続いており、予断を許さない状況にある。

回復傾向だが 一進一退続く

 本決算を迎えたシーボンは、2023年3月期において、売上高が前期比6.9%減の85億2500万円、営業損失が1億4500万円、経常損失が1億2700万円、 当期損失が4億2100万円となった。直営店舗では、新規顧客の拡大を最重要課題と捉えて施策を実施してきた。コロナ禍の中、 オンラインの無料カウンセリング「シーボンオンラインビューティ・アドバイス」を展開し、デジタルとリアル施策の接続を強化。 全国に100店舗以上の「フェイシャリストサロン」を展開する同社では、化粧品の購入額に応じてポイントを付与、それを使ってフェイシャルケアサービスを提供してきた。 ニューノーマル対応の社会のあり方が進展した結果、リアル施策も復調の兆しがみられ、サンプリングや肌チェックを通じたイベントでの新規顧客の集客数は、前期比41.1%増となった。 また、インフルエンサーマーケティング等のWEBを活用した集客や、製品をタッチポイントとした集客活動を強化した結果、直営店舗における新規売上高は同27.0%増となった。 一方、既存顧客の継続数は同1.5%減となったほか、新ブランド「シーボンパル」など、若年層向けの商品政策や販促を強化した結果、20~30代の女性が増加して顧客単価が低下。 既存顧客への売上高は同8.6%減となった。
 シーボンでは、2024年3月期~2026年3月期までの新中期経営計画を策定。①製品価値向上、②サロン価値向上、③新しい価値の創造――を3本柱に、 アフターコロナ時代での事業基盤強化・拡大を図るとしている。サロン展開では、都市型サロンにおいて、新規顧客との接点拡大を目的に、 現状のサロンスタイルと美容機器を併用した販売戦略を担う店舗へと改革。郊外型サロンでは、従来通りの運用を行いながら、店舗オペレーションやレイアウトを改善し高収益化を目指す。 また、海外EC市場やバラエティ市場など新マーケット開拓にも注力。バラエティ市場では、4月に新ブランド「スリール」を上梓した。2024年3月期の業績予想は、 売高?億200万円(前期比4.4%増)、営業利益2億円、経常利益2億200万円、当期利益7400万円を見込む。上  アイビー化粧品の2023年3月期は、売上高が前期比16.7%減の29億4200万円、営業損失1800万円、経常損失2100万円、当期損失3億8400万円となった。

(続きは2023年5月18日号参照)