消費者庁が特商法で「ゼロモバイル」に停止9カ月、格安SIMの連鎖販売

「広告を見れば電話代タダ」、
実際は1視聴あたり1円相当の還元

 格安のSIMカードを契約して動画広告を見れば、電話料金が無料となるかのように説明していたなどとして、消費者庁は3月30日、 MVNOサービスの連鎖販売取引事業者「ゼロモバイル」(以下ゼロ社、大阪市中央区、森畠真実代表)に特定商取引法違反で9カ月の業務停止命令と指示を行った。 ゼロ社と一体的に連鎖販売を行っていたとして、「センターモバイル」(以下センター社、大阪市中央区)と「ライフラインプランナー協会」(以下協会、大阪市中央区、 畑中真人代表理事)の2事業者にも同様の行政処分を行った。

年間売上6.8億会員は計3.8万

 認定した違反行為は氏名等不明示、重要事実不告知、公衆の出入りしない場所における勧誘、断定的判断の提供、概要書面および契約書面の不交付。 連鎖事業の遂行に主導的役割を果たしていた「中越達也」「伊勢地一男」の2人には禁止命令を出した。2人は前者がセンター社の代表取締役。後者は「ナンバー2」 (消費者庁取引対策課)にあたる人物だったという。
 MVNOサービスは、データ通信のみのプランを月額20ギガ・2758円、50ギガ・4573円で販売。通話機能付きは20ギガ・3000円、 50ギガ・4815円で販売していた。このほか代理店≠ヘ月8800円をシステム使用料として支払う必要があった。同サービスの名称は現在、 「LPMobile」と呼称されている。
 同庁によれば、連鎖販売の会員数は約2万7000(22年6月時点)で、これとは別にSIMのユーザーが約1万1000(同7月時点)いた。 売上高は21年6月期で約6億8000万円。
 連鎖の報酬は
@“アドバイザーボーナス”や
A“バイナリーレベルマッチボーナス”などを用意。
@は新規1人の紹介につき3000円、
Aはバイナリーツリー上で2人(左右各1人)が揃う毎に月1500円を支払っていた。
 消費生活センター等で把握されていた関連相談件数は、20年6月以降で計272件(3月8日時点)。

(続きは2023年4月13日号参照)