2022年度の特商法執行 延べ処分件数、3年ぶり増加

都道府県で1.5倍、国は実態ベースも減少

 2022年度(22年4月〜23年3月)に行われた特定商取引法違反の行政処分は、延べ件数が94件となり3年ぶりに増やした。 コロナ禍の行動規制等を背景に急減させていた過去2年から反転≠フ兆しを窺える一方、国の件数は延べ・実態ベースのいずれも減少が続き、 増加した都道府県とは対照的だった。対象となった取引類型は、例年に続いて住宅リフォーム系の訪問販売が目立ったほか、連鎖販売で業界最大手の大型処分が行われた。

コロナ禍の規制で20〜21年度は急

 22年度の特商法処分の延べ総件数は94件で、前年度比は16%増(グラフ参照)。件数ベースは13件の増加だった。
 件数の増加は3年ぶり。近年の処分は17年12月の改正特商法施行を契機に、17〜19年度に大きく増加していたが、コロナ禍の始まった20年度以降は急減していた。
 改正法施行後の増加は、新設された業務禁止命令の影響が大きく、以降のほとんどの処分で業務停止命令と禁止命令がセットで出されている。これに対して20〜21年度は、 被勧誘者・契約当事者の聞き取り調査や事業者の拠点への立入検査など、法執行に必要な諸業務がコロナ禍の行動規制で制約され、その影響が処分数の減少として表れた。 3年ぶりの増加は、コロナ禍の行動規制が徐々に緩和されたことなどが背景に考えられる。
 業務禁止命令を除いた件数は62件で、過去10年で最少だった前年度の52件を19%上回った(件数ベースで10件増)。

国の処分数、実態ベースで減少続く

 執行主体別に見た延べ処分数と前年度比は、国(消費者庁と各経済産業局、沖縄総合事務局)が34件で17%減(件数ベースで7件減)、都道府県が60件で50%増(同20件増)。 国が前年度に続いて処分数を減らした一方、都道府県が1.5倍と大きく増やした。
 国は、実態に近い事業者ベースの処分数も減少。22年度は7件で、前年度の10件に対して3件のマイナスだった(業務停止命令・指示・業務禁止命令の同時適用、 単一事業者が行う複数の取引の処分、事実上一体となって活動していた複数の事業者の処分など、処分の重複カウントを除いて算出。 国と都道府県の同時処分は各執行主体に重複カウント)。これ以前の国の事業者ベースの処分数は、19年度が18件、 20年度が15件(20年4月の偽ブランド品販売事業者一斉処分を1事業者としてカウント)だったため、減少傾向が進んでいることが分かる。

(続きは2023年4月13日号参照)