トップ インタビュー 「アフターコロナ」時代の新たなBCP

多様化したリスクへの対応が不可欠「ビジネス継続」の重要性高まる

 この3年間、ダイレクトセリング業界ではニューノーマル対応でリアル・オンライン双方を活かした取り組みが増え、ハイブリッド施策が定着した。この春は、 いよいよ「アフターコロナ」への動きが本格化するが、企業を取り巻くリスクへ備えは、重要性を増すばかりだ。 43年にわたって600社以上のMLM企業にシステム支援等を行ってきた日本ネットワークシステムズ(本社・宮崎県宮崎市)の 髙山隆憲社長に、 デジタル施策や予測困難な災害に対するBCP(事業継続計画)、さらには待ったなし≠フ課題であるDX推進について聞いた。  
▲日本ネットワークシステムズ
代表取締役社長 髙山 隆憲 氏
復旧≠ゥら損失抑制≠ヨシフト

―――3年以上にわたって続いたコロナ禍も、ようやく出口が見えてきました。2023年は、世界的にも、「ウィズコロナ」から、 「アフターコロナ」への動きが加速するとみられます。他方で、新型コロナウイルスの脅威が消え去ったわけではありません。また、 世界的な情勢不安や自然災害といったリスクを無視することはできません。ダイレクトセリング業界・MLM業界においても、 以前にも増して危機管理体制の構築が急務となっています。
 「BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめ、 事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。 従来のBCPの想定は、過去の危機を参考に計画されており、特定地域での災害や震災により設備が損壊することで、 システムトラブル等で一部システムが一時停止すること等が想定されます。その対応は影響を受けた事業の一時復旧を図り、 いかに早く損壊した機器やインフラを元の姿に復旧させるかがポイントでした」

  ―――コロナ禍を経て、BCPのあり方が変わったということでしょうか。
 「自然災害は影響範囲が局所的なので連携が可能ですが、世界的な新型コロナウイルス感染症の流行は影響範囲が広範囲となり、 全地域で同時期に発生するため他の地域からの支援は限定的となります。従って、元に戻す復旧≠ニいう考えではなく、 いかに損失を抑えつつビジネスを継続させていくかの事業継続のための対策に取り組まざるを得ない環境となり、BCPの策定ニーズは高まりを見せています。 近年では自然災害も頻繁に発生していることから、地震や風水害といった自然災害も含めたさまざまなリスクに対処するためには、 どのようなBCPが求められるのかを改めて整理することが重要となってきました」

  ―――この3年間で、人々を取り巻く環境が大きく変化し、あらゆる分野で多様化が進みました。BCPにおいても、求められる内容は、 企業が置かれている状況によって多種多様なっているように思えます。
 「BCPの策定が急務となっている今、数々のセキュリティー対策を施した弊社システムをご活用いただくことで、 主宰企業のリスク管理にもお役立ていただけます。新型コロナウイルス感染症の拡大は、インターネットとデジタル技術を活用することが事業継続のカギとなり、 テレワークは緊急時に事業や業務を継続する手段としても有効です。コロナ禍によりテレワークが普及しましたが、 弊社は2001年のASPサービスを導入時より、主宰企業様がどこからでも安全・快適にデータにアクセスできるシステムを構築しています。システム、 およびデータは当社内のサーバ上にあるため、普段から主宰企業様は弊社にアクセスしてリモートで作業して頂いていることになります。 コロナ禍で働き方の多様化が進み、リモート時代の到来によって主宰企業には、社員がテレワーク可能な環境を構築することが求められます。また、 イベントのWeb開催など、リモート化して会員の活動を支援することも必要です。弊社では想定外の事態に備え、 日々のデータを本社内とIBMクラウド上にバックアップを行っており、万が一の際もデータを守り抜きます。なお、 弊社は2004年にISO9001:2015を取得しています」

  ―――アフターコロナ時代では、「2025年の崖」問題が間近に迫っています。
 「『2025年の崖』とは、経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート」に記載されたDX(デジタルトランスフォーメーション)が、 今後日本で推進されなかった場合に発生する企業の急速な競争力の低下を意味する言葉です。 現在は企業の約8割がレガシーシステムを使用していると言われています。レガシーシステムとは、長い間使い続けて老朽化、肥大化、複雑化したシステムや、 そのシステムに詳しい人材がおらずブラックボックス化したシステムのことを指します。このレガシーシステムの存在が、 DXの足かせになっているとされています。このように、既存システムの利用および運用・保守からいつまでも抜けられず、 また日々急速に進むIT技術の進歩の流れに追いつけなくなる結果、2025年以降から企業の競争力は崖から落ちるように急速に低下し、 大きな経済損失を生むといわれています」

  ―――MLM業界でも、レガシーシステムを使用している企業は少なくありません。


(続きは2023年3月23日号参照)