シリーズ・特商法改正 改正はあるのか? 「施行5年後」見直し

弁護士会が攻勢、国・自治体で議員に働きかけ
消費者庁は「予定ない」「必要な措置、講じてる」

  16年改正の施行5年後見直し&国・や苦情件数の高止まりなどを理由に、特定商取引法の大型改正を求める消費者関連団体の動きが活発だ。 昨年10月、数十組織の運動体である「全国連絡会」が発足。訪問販売等の不招請勧誘規制強化、連鎖販売への開業規制導入、 インターネット通信販売の行為規制強化などを獲得目標≠ノ掲げた。直近は、この運動体と連携する各地の弁護士会が議員にも働きかけ、集会や意見書、 地方議会への請願・陳情で攻勢をかけている。一方、消費者行政側に、これに呼応するような反応は窺えない。附則等を理由とした特商法改正の可能性はあるのか。

▲「施行5年後」見直しの旗振り役を務める弁護士会は、
訪問販売の不招請勧誘規制強化などを求めて、
国会や地方議会の議員に働きかけを強めている
(写真は日弁連作成のリーフレット)

昨年12月に5年到来「全国連絡会」発足

 16年に改正され17年12月に施行された特定商取引法は、附則で、施行から5年を経過した時点で施行状況を検討し、 必要がある場合、結果に基づいて所要の措置を講ずると規定。昨年12月に、この5年が到来した。
 法規制による消費者被害の防止・抑止を求める消費者関連団体は、附則を機会とした改正を目指し、昨年10月に「特商法の抜本的改正を求める全国連絡会」 を発足。加盟組織数は約60団体(2月時点)にのぼり、多方面で活動に乗り出している。
 この活動において「全国連絡会」と連携する組織の一つが、過去の改正議論をリードしてきた弁護士会だ。国および地方議会の議員にも働きかけ、 法改正への決起集会≠ノ相当するシンポジウム等を相次いで催している。
 日本弁護士連合会は2月28日、参議院議員会館内で「特定商取引法5年後見直しについての院内学習会」と題する集会を開催。 オンラインで200人前後が視聴する中、昨年7月に日弁連から国へ提出した法改正意見書の狙いの説明、消費者団体による最近の悪質な電話勧誘販売事例の解説、 「モノなしマルチ」被害者の家族によるスピーチなどが行われた。

日弁連の院内集会で与野党議員が賛同

 そして、この集会には、法改正に一定の賛同を示す与野党の議員も参加した。
 野党側は吉田統彦衆院議員と川田竜平参院議員(立憲民主党)、与党側は安江伸夫参院議員(公明党)が来場。3議員は、 各院の消費者問題に関する特別委員会の理事も担当。仮に改正案が提出された場合、議論を戦わせる場でも意見を述べる立場にある。
 吉田議員は法改正に「全力を尽くすことを約束させていただきます」とコメント。川田議員は 「最近の消費者庁のあり方が事業者寄りになってきている」とした上で「改正をしっかりしていかなければいけない」と述べ、 安江議員は「特商法のより良い改善に向けて力を尽くしていく」とあいさつした。
 同様の集会は、大阪弁護士会も3月18日に「特定商取引法5年後見直しシンポジウム 消費者被害をなくす法改正を!」をウェビナーで開催。 國重徹衆院議員(公明)、辻元清美参院議員(立憲民主・社民)、浅田均参院議員および梅村みずほ参院議員(日本維新の会) の4人がメッセージを寄せるなどした。

兵庫8市町、大阪府市請願 → 意見書を可決

 議員との連携は地方議会においても活発で、昨年12月頃より、議員の紹介を必要とする請願の結果、法改正を求める意見書が次々に可決・採択されている。


(続きは2023年3月23日号参照)