「書面電子化」 政省令のポイントは D
電磁的交付 サイト接続のみ不可、ダウンロード必須
過去4回に続き、6月1日に施行される改正特商法の「書面電子化」規定の政省令について、 パブリックコメントの結果をもとに消費者庁の方針や今後の運用見通しを探る。
大前提として、法定書面の電磁的交付は消費者から電子化への承諾を得ることを条件に可能となる。この承諾が消費者の真意に基づくことを担保するため、 チェックボックス方式をはじめとする「記号の記入」によって承諾を取得する方法は排除された。
そして、訪問販売や連鎖販売などの取引類型では、承諾を取得したことを「証する書面」を紙で交付することが義務付けられた (訪販の場合は省令第10条第7項)。承諾を紙に記入してもらった場合はその写し、電磁的方法で取得した場合はプリントアウトした書面などを渡す必要がある。
消費者庁の取引対策課の説明によれば、「証する書面」の不交付が直罰や行政処分をともなうわけではない。が、 仮に消費者の手元に「証する書面」がなかった場合、承諾自体がなかったとして処分の対象になるリスクを生じる。
加えて事業者にとって気になるのは、どのような事項を「証する書面」に記載しておけばいいのかという点だろう。パブコメでも実際、 この点に関する質問が寄せられた。
これに対して消費者庁は「特商法は記載事項を具体的に定めておりません」「消費者が何の契約に関し、書面の交付に代えて当該記載事項を具体的に どのような電磁的方法により提供を受けることについて承諾したのかを明らかにされた書面であることが記載事項として考えられます」と返答。 具体的な事項の説明を避けている。
一方、取引対策課は本紙の取材に、今後作成が予定されているガイドラインで記載事項に触れる余地について「具体的には決まっていないが、 あり得る選択肢」とコメント。一定の指針が示される可能性はある模様だ。
(続きは2023年3月16日号参照)