MLM最前線・タッパーウェア 「多チャネル化」戦略、次の段階へ
大手百貨店・専門店に販路拡大、テレショップも
eコマース快調、タッパー#F知度が武器に
非MLM売上が1/4〜1/3に拡大
▲2年前に出店した楽天市場の公式ショップ(=写真)は、
プラスチック密封容器の「デコレーター」シリーズがヒットし、
キッチン用品カテゴリーで1位に浮上
今年、開業60周年を迎えるタッパーウェアブランズ・ジャパン。プラスチック密封容器を日本に根付かせたパイオニアであると同時に、
MLM業界では最古参の一社でもある。「メンバー」と呼ばれる販売員が料理教室等を開くホームパーティー形式で商品を伝えてきた。プラスチック密封容器の「デコレーター」シリーズがヒットし、
キッチン用品カテゴリーで1位に浮上
一方、21年2月の石井恵三社長就任を機に、事業のデジタル化と多チャネル化を推進。入社前は、エクスペディアジャパン社長や日本コカ・コーラCDO (デジタル最高責任者)として、各社のデジタルマーケティング業務を取り仕切った。
推進策を受けて、就任2年目となる22年度(=22年12月期)の売上高は、公式WEBショップや楽天市場店などeコマースを中心とした非MLMの構成比が、 「全体の4分の1〜3分の1の間」(石井社長)まで拡大。長引くコロナ禍で対面の活動を抑制されたMLMの苦戦を補った。 利益面でもMLMに比べたeコマースの利益率の高さが貢献した。
22年度で「飛躍した」(石井社長)と評価するeコーマスは、特に、一昨年6月に出店した楽天市場で成長がみられたとする。
「デコレーター」楽天でヒット
1位への浮上は、商品が「バズった」(石井社長)ことも理由の一つ。蓋の放射状のギザギザを特徴とするロングセラー商品、 「デコレーター」シリーズをセットにした“ヴィンテージコレクション”が「数時間のうちに数百個単位で売れた」(同)。 購入者によるレビューが付くことでさらに来訪数が増え、リピーターによる他の商品の購入につながった。
ヒットの背景には、プラスチック密封容器の代名詞化している「タッパー」の認知度も有利に働いたと分析。同社が商標登録する「タッパー」 「タッパーウェア」を楽天内で検索したユーザーの多くが、同社店舗に誘導される形になったという。
「人目に触れさせれば必ず売れる」
(続きは2023年3月9日号参照)