ダイレクトセリング化粧品 リアル施策への誘導がカギ

新規顧客の導線確保
EC経由で若年層増加も

   状況打開に向けて一定の見通しが立ってきたコロナ禍だが、この3年間でダイレクトセリング化粧品市場はリアル・デジタルの融合が進んだ。 サロン展開については、コロナ禍に伴う緊急事態宣言等によって、臨時休業を余儀なくされるなど、厳しい時期を乗り越え、 ニューノーマルに対応した環境を整えて事業を継続している。ECなど非接触型の販売チャネルが消費者のニーズを掴み、 新規顧客へのアプローチとして注力する動きも活発化。アフターコロナ≠見据え、オンライン施策をリアル施策と連動させ、 ECチャネルから顧客を店舗に誘導する取り組みなど、多様化・細分化した需要の掘り起こしが強まっている。

脱コロナ≠ナリアル施策重視の傾向 

▲エステメニューと連動した
   「B.A」限定セットを展開(ポーラ)
 ダイレクトセリング化粧品最大手のポーラは、2022年12月期において、売上高が同8.9%減の963億7100万円、 営業利益が同17.5%減の124億9500万円となった(ポーラ・オルビスホールディングスビューティケア事業のPOLA部門)。 主力の委託販売チャネルは売上構成比、売上伸長率ともに低下したが、この一因には店舗数の減少が挙げられる。同社によると、 ショップ数はショップ数が2946店舗で前期比281店舗減。PB(=ポーラ・ザ・ビューティー)店舗数が537店舗で同51店舗減と厳しい状況。 委託販売チャネルにおける購入単価は、前期比17.5%増と回復したが、顧客数は同21.9%減となった。
 顧客獲得でポーラが力を入れているのは、リアル・オンライン施策の接続だ。同社によると、オンライン経由の新規顧客獲得数は前年度比2ケタ増。 現在、店舗でSNSによる情報発信を行っており、フォロワー数を伸ばしている。オンラインで直接つながる顧客リストを拡充し、 新規獲得に寄与しているという。既存顧客向けには来店促進の提案を強化し、エステ売上回復図った。
 2023年12月期において、同社は多様化が進む消費者ニーズに合わせ、ダイレクトセリングを生かした柔軟な販売チャネルの設計、利便性向上を図る。 OMOの推進、国内の顧客情報(ID)を統合し、各チャネルをシームレスにつなぐ新しいビジネスモデルの構築を進めるとしている。 国内共通の顧客基盤を構築することで、チャネルの特性や強みを生かした施策を展開し、フォローの即時性向上、 パーソナライズによる顧客体験価値の向上を図るという。その一環として、5月1日に最高峰ブランド「B.A」と連動したエステと、 「B.Aローション」と「B.Aミルク」のスキンケアのミニサイズ(約2週間分)をセットした「ハリケアダブルケアセット」 「ホワイトニングケアダブルケアセット」(各税込1万2100円)を数量限定で投入する。「B.A」と連動したエステメニューは約70分で、首、肩、 デコルテのケアや、「B.A」など同社が展開するスキンケアブランドの美容成分と連動したマスクを使用した施術によって、 夏に向けた紫外線や近赤外線のダメージケアを訴求していく。


(続きは2023年3月2日号参照)