「書面電子化」 政省令のポイントはA

書面原則<求[ル、説明義務事項に求めず
「平易」要件、判断はケースバイケース

 前回(2月16日号4面)に続き、6月1日に施行される改正特商法の「書面電子化」規定の政省令と、そのパブリックコメントの結果をもとに、 消費者庁の見解や今後の運用見通しを探る。
◇  消費者の承諾を前提とした電磁的交付において、第一のハードルと言える重要事項の説明義務。具体的には、
・承諾をしなければ紙の法定書面が交付されること
・電子書面の記載内容が消費者にとって重要なものであること
・電磁的交付の完了から8日間が経過するとクーリング・オフ権が行使できなくなること(連鎖販売等は20日間)
・消費者が使用する電子機器の画面サイズは4.5インチ以上であること
という4事項が指定され、パブコメが行われた原案から変更はなかった(訪問販売の場合は省令第10条第1項第1号〜4号、他の5取引類型も同じ)。
 しかし、パブコメで異論が寄せられなかったわけではない。特に、画面サイズの下限を「4.5インチ」とするルールをめぐっては、 消費者系団体を中心に反対意見が殺到。最終的に「4.5インチ」が維持されたものの、これとは別に消費者庁は「明瞭」要件の詳細をガイドラインで示す意向。 画面上の表示に何らかの規制が入る可能性も捨てきれない。
 さらに、パブコメでは説明義務事項の追加を求める意見も多数が、寄せられた。それが「書面原則」ルールだ。
 昨年?月、消費者庁の「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」がまとめた報告書は、電磁的交付に対する消費者の承諾が 「真意に基づく」ことを担保するため、複数の説明事項を提案。この中に「書面原則」ルールも含まれた。
 検討会の議論をリードした消費者側委員の多くは、電磁的交付はあくまで例外的な措置であり、紙の書面が原則である旨を強調。この結果、 「書面での交付が原則であること」が説明すべき事項の一つとして提案された。
 しかし、消費者庁は「書面原則」ルールを説明事項に含まない省令案を公表。

(続きは2023年2月23日号参照)