揺れる米MLMマーケット 業界が反発、FTCの報酬開示ルール見直し
予想報酬の裏付け、不開示ならFTC法違反
DSAは〝二重規制〟懸念、自主規制の成果も強調
契約7日以内の書面交付義務
適用対象にMLMを追加するFTCの方針
に対して、米DSAは1月31日に提出した
意見書(=写真)で反論
このBORの根幹をなす規則の一つが書面交付義務。消費者が虚偽の〝儲け話〟で騙されることを防ぐため、 〝ビジネス・オポチュニティ〟への参加で得られると予想される報酬額や利益を事業者が説明する際、その裏付けとなるデータを書面で示す必要がある。
書面に記載すべき事項には、キャンセル・返金規定の有無とその条件、過去3年間の〝ビジネス・オポチュニティ〟参加状況のリストなども指定。 これらの事項は書面1枚に収める必要があり、電子書面で交付する場合は印刷して保存可能な形式でなければならない。
交付期限は、契約締結日か代金の支払いを受けた日のどちらか早いほうから7日以内。これら義務を履行したなかった場合、 不公正・欺瞞的な行為・慣行を禁止したFTC法第5条違反を問われることになる。
ルール見直し、2年前に表明
規則の対象となる取引形態を、MLMを含むマネー・メイキング・オポチュニティやeコーマス・オポチュニティ、 コーチング・プログラムなどに拡大する考えをFTCが表明。同月に開催されたオープンミーティングにおいて、 4人のコミッショナーの満場一致でBORを見直す方針が確認され、パブリックコメントにかけられることが決まった。
ミーティングではFTC側の発案者が「毎年、何万人もの消費者が詐欺的な〝ビジネス・オポチュニティ〟によって何千、何万ドルもの被害にあっている」 「1枚の文書で重要情報を事前に開示することによって、正しいリスクの評価ができるようになる」「欺瞞的な〝ビジネス・オポチュニティ〟 の提案者に責任を負わせ、違反した場合には民事罰を科すことができる」と、その意義を強調した。
実は、BORの見直しは21年6月にも、コミッショナーの一人が声明の形で方針を示している。
(続きは2023年2月23日号参照)