「書面電子化」 政省令のポイントは @
画面サイズの下限、「4.5インチ」変わらず
「明瞭」要件はガイドラインで具体例示す
6月1日の施行が決まった改正特定商取引法の「書面電子化」規定。その具体的ルールを定めた政省令が2月1日に公布され、
昨年11〜12月に行われたパブリックコメントの結果も合わせて公表された。パブコメには260の個人・法人・団体が計1084件の意見を提出。
これに答える形で、消費者庁の見解や今後の方針が示された。同庁の回答から電子化規定の運用見通しを探る。
説明義務、省令で4事項を指定
改正法が施行される6月1日以降、訪問販売や連鎖販売取引などの6取引類型(通信販売除く)の事業者は、消費者から契約締結の申し込みを受けた際、
紙の法定書面の交付に加えて、PDFの電子書面を電子メールで送信するといった電磁的交付を行うことが可能となる。
このプロセスは、
@消費者による電磁的交付の希望
A事業者による重要事項等の説明
B消費者のデジタル適合性の確認
C第三者への「写し」送信の意思確認
D消費者の承諾取得(「控え」提供も)
E電磁的交付の実施(求められた場合はCの「写し」送信も)
F電子書面の受領・閲覧確認
と整理される。そして、この手続きで最初のハードルとなるのがAの重要事項の説明義務になる。
説明事項は6取引類型で変わらず、
・承諾をしなければ紙の法定書面が交付されること
・電子書面の記載内容が消費者にとって重要なものであること
・電磁的交付の完了から8日が経過するとクーリングオフ権が行使できなくなること(連鎖販売等の場合は20日)
・消費者が使用する電子機器の画面サイズは4.5インチ以上であること
という4事項が指定され、パブコメが行われた原案から変更はなかった
(訪販の場合は省令第10条第1項第1号〜4号)。
紙の書面、スマホ画面表示し実験
この4事項のうち、スマートフォンしか所有しない消費者にも電磁的交付が可能となる「4.5インチ」ルールをめぐっては、複数の消費者系団体が反発。
政省令案のたたき台となった有識者会議の報告書が画面サイズに「「書面並みの一覧性(=面積)」を求め、
同会議で消費者庁側が下限を11インチ程度とする考えを述べていたこともあって、パブコメでは「あまりに小さすぎる」
「最低限、画面サイズとしては少なくとも一般的なタブレット程度が必要」といった反対意見が寄せられていた。
(続きは2023年2月16日号参照)