ダイレクトセリング化粧品 苦境続くも〝アフターコロナ〟見据え

リアルイベント復調の兆し
デジタル施策との両軸で

  日本国内では、3月13日からマスクの着用が個人の判断に委ねられることが正式に決定し、 5月の大型連休明けには新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが2類から5類に移行するなど、〝アフターコロナ〟に向けた動きが加速している。この3年間、 さまざまなかたちで制約を受けてきた社会経済活動の活性化に期待が高まっている。ダイレクトセリング化粧品市場においても、 コロナ禍の中で培ってきたデジタルツールを活用したオンラン施策と、もともと得意としてきたリアル施策を組み合わせたハイブリッド施策による盛り返しの取組みがみられる。 一方で、足元の業績は一進一退が続いており、未だ予断を許さない状況にあると言える。

主力の委託販売チャネル苦戦続く

 ポーラ・オルビスホールディングスの2022年12月期は、連結ベース売上高が前期比6.9%減の1663億700万円と減収となった。損益面は、 売上原価率が同2.6ポイント上昇の18.6%、販管費率が同0.7ポイント低下の73.7%となった結果、営業利益は同25.5%減の125億8100万円、 経常利益は同21.3%減の149億2800万円、当期利益は同2.5%減の114億4600万円となった。
 事業別の実績をみると、ポーラブランドを含むビューティケア事業は売上高が同5.1%減の1616億5400万円、営業利益が同12.5%減の137億9300万円となった。 このうち、ポーラブランドは売上高が同8.9%減の963億7100万円、営業利益が同17.5%減の124億9500万円となった。
 売上構成比は、委託販売チャネルが65.7%で同2.7ポイント低下、海外が16.6%で同2.2ポイント低下、国内ECが5.8%で同0.8ポイント上昇、 百貨店・BtoBが11.9%で同4.1ポイント上昇した。各チャネルの売上伸長率は、委託販売チャネルが前期比9.4%減となった。委託販売チャネルは、 ショップ数が2946店舗で前期比281店舗減。PB(=ポーラ・ザ・ビューティー)店舗数が537店舗で同?店舗減と、主力のPBをはじめ、厳しい状況が続く。 委託販売チャネルにおける購入単価は、前期比17.5%増と回復したが、顧客数は同21.9%減となった。
 ポーラブランドでは、主力の委託販売チャネルにおいて新規・既存ともに顧客数の回復がみられた。また、オンライン経由の新規顧客獲得数は前年度比2ケタ増となった。

(続きは2023年2月16日号参照)