特商法・書面電子化の内幕

スマホOK%]換、直前に「デジ臨」と相談
書面同様の大きさ「必要ない」、規制改革WGで

 特定商取引法の「書面電子化」規定をめぐり、昨年11月に消費者庁が公表した政省令案で、電子機器の画面サイズの「下限」が4.5インチと指定され、 スマートフォンしか使わない消費者にも電磁的交付が可能となる見通しだ。電子化要件を検討した有識者会議でスマホ外し の考えを説明していた同庁の方針転換は業界関係者を驚かせたところ、消費者系団体からは反発を生じている。一方、その内幕を窺うと、 デジタル推進を旨とする政府の要請が浮かびあがる。
 「スマホの扱いなのですけれども、デジタル庁ですとか、それから、政府の規制改革会議とのやり取りが、この報告書と別には発生しておりまして、 できるだけ、やはり使いたい人が使えるという観点からは、広いいろいろなデバイスに対応できるということも大事であるという御指摘を頂戴しております」。
 有識者会議の報告書が公表された1週間後、昨年10月14日の消費者委員会本会議。特商法を所管する消費者庁取引対策課の奥山剛課長はこのように述べ、 本会議から1カ月半後の11月30日、スマホを容認≠キる政省令案が公表された。
 有識者会議の報告書は画面サイズに「書面並みの一覧性(=面積)」を提言。同会議で課長は下限を約11インチとする考えを示していたことから、 容認≠歓迎する業界関係者の間にも驚きの声が広がった。なぜ方針を転換したのか。カギは、デジタル庁や内閣府の規制改革推進会議(以下推進会議) との「やり取り」になる。

デジ庁と「相談し決定」

 消費者委員会本会議の2週間前、9月30日に開かれた推進会議の「第6回デジタル基盤ワーキング・グループ」(以下WG)は、 特商法の書面電子化がテーマとされ、特定継続的役務提供(以下特役)を事例に新経済連盟と消費者庁のヒアリングが行われた。ここで、 7月の報告書案で触れられていた、承諾取得ルールをはじめとする電子化を制約する考え方に連盟側が反対を意見したのに対して、 同庁は原案の提言を踏まえる考えを述べた。
 ただし、画面サイズの下限の考え方については、奥山課長が「法定事項の消費者への伝達において、いかなる大きさであれば伝達効果を得られるのか、 報告書の結論を踏まえて、今後デジタル庁とも相談した上で決定していきたい」と返答。「一般的には、一行ごとに左右にスクロールして、 さらに上下にもスクロールを求められるなど、あまりにもスクロールの手間が煩雑であると読まれなくなってしまうおそれがありますので、 こういった点を考慮していきたい」とした。
 同庁が相談相手にあげたデジタル庁。実はWGには、デジ庁に属する「デジタル臨時行政調査会」(以下デジ臨)の事務局がオブザーバー参加していた。


(続きは2023年1月19日号参照)