特商法の書面電子化 政省令案のポイントは
第三者への「写し」送信、メールで「同時」に
受領・閲覧の確認方法、電話やオンラインなど指定
法定書面の電磁的交付の手順は、以下の7ステップに整理されている。
@ 消費者による電磁的交付の希望
A 事業者による重要事項等の説明
B 消費者のデジタル適合性の確認
C 消費者の承諾取得(「控え」提供も)
D 第三者への「写し」送信の意思確認
E 電磁的交付の実施(求められた場合はDの「写し」送信も)
F 電子書面の受領・閲覧確認
政省令案では、この7ステップにおいて事業者に求められる義務事項や禁止事項が具体化された。このうち、ステップDおよびEに該当するのが、 家族等の第三者に電子書面の「写し」を交付するルールとなる。
ルールの原型は、デジタルに不慣れな高齢者の保護を念頭に「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」で浮上した。
ここで、検討会の事務局を務めた消費者庁取引対策課が、一部の年齢のみを対象とすることは法制度上難しいとして、 すべての年齢を等しく対象とすることを提案。委員の賛同を得て、10月にまとまった検討会の報告書の中で「あらゆる消費者」が第三者への「写し」 の提供を受けられるルールの導入と、その説明および意思確認を事業者に義務付けることが提言された。
この提言を反映したのが、省令案の第10条第3項。電磁的交付に際し、事業者が消費者に確認しなければならない事項を定めた同項の第3号で、 電子書面の「写し」を「あらかじめ指定する者に対しても電子メールにより送信することを求める意思の有無」を消費者に確認する手続きが義務化された。 「写し」の送信を求められた場合、消費者が指定する第三者の「電子メールアドレス」も確認する必要がある。
さらに、省令案の第?条第6項で、「写し」は契約者本人に電磁的交付を行うのと「同時に送信しなければならない」と指定。このため、 昼に電磁的交付を行った後、その日の夕方に「写し」を送信した場合などは「同時」という要件を満たさないことになる。
(続きは2023年1月5日号参照)