本紙アンケート・36社の回答集計 @

特商法の「書面電子化」 業界の方針・賛否は?

 23年6月までに施行される改正特定商取引法の「書面電子化」規定に基づき、紙しか認められていない法定書面の交付が電磁的に行えるようになる。 ダイレクトセリング業界では、コロナ禍で加速したデジタルシフトも背景に歓迎する姿勢が強い一方、 22年10月に消費者庁の有識者会議がまとめた報告書は、電磁的交付の前提となる消費者の承諾の「控え」を紙で提供するように求めるなど、 厳格なルールを要請。紙以上に高いハードルが設けられようとしている。そこで本紙は、電子化に対する各社の方針やルールへの賛否を調査。 36社(訪販系9社、連鎖販売系27社)の有効回答をまとめた。

「電子化」実施予定は?

3分の2が「検討中」、動向・詳細を様子見

 アンケートでは、まず、「書面電子化」規定が施行された後、紙による交付に加えて、電磁的交付を行うかどうかを調査。集計の結果、 もっとも多かったのは有効回答全体の64%を占めた「検討中/未定」(23社)で、約3分の2の会社は方針を決めかねていた(グラフA参照)。 電磁的交付を「行いたい/行う予定」(6社)としたのは17%で、「行うつもりはない/行わない予定」(7社)の19%を下回った。
(続きは2023年1月5日号参照)

紙で「控え」、賛否は?

4割が反対、「かえって手間、増える」

 電磁的交付を行うには、あらかじめ消費者の承諾を得る必要がある。この要件をめぐり、 消費者庁の「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」(以下検討会)の報告書は、 オンライン完結型の特定継続的役務提供を除いた訪販や連鎖販売などの取引類型で、消費者保護の観点から、承諾の「控え」を紙で提供することを提言。 このため、PDF等の電子書面をメールで送信するなどした場合、別途に紙の「控え」の交付が求められる見通しだ(※)。
 そこで、この「控え」交付ルールの賛否を調査。紙で「控え」を交付させることに「反対」(14社)が39%となり、 「賛成」(3社)の8%を大きく上回った(グラフB参照)。
(続きは2023年1月5日号参照)

概要書面 「控え」も電子で、賛否は?

賛成が過半数、「大きな前進」

 電磁的交付のルールは契約書面(申込書面含む)を前提に策定され、連鎖販売等における概要書面は、 契約書面に準じたルールが採用されることとなっている。
 一方、承諾の「控え」の提供について、検討会は契約書面と異なるルールを提案。概要書面が契約締結前に確実に交付される重要性や、 クーリング・オフの起算点に関係しないことを理由に、電磁的提供を「可能とすべき」としたことから、 概要書面の「控え」は電磁的な提供も可能となる見通しだ(※)。 この見通しの賛否をアンケートで聞いた結果、 53%に達した「賛成」(19社)が「反対」(2社)、「賛成とも反対とも言えない」(15社)を大きく上回り、過半数を占めた(グラフC参照)。
(続きは2023年1月5日号参照)