特商法の書面電子化 政省令案のポイントは 

承諾取得 チェックボックス方式は不可

「理解した旨」の「記入」を要件に

 来年6月までに施行される改正特定商取引法の「書面電子化」規定について、消費者庁が11月30日、 電磁的交付の要件などを盛り込んだ政省令の改正案を公表し、パブリックコメントの受付が始まった(12月15日号1面詳報)。案では、 消費者が使用する電子機器の画面サイズを4.5インチ以上と定め、スマートフォンしか所有しない消費者への電磁的交付を容認。一方、 消費者からの承諾取得を「証する書面」は、訪販等の取引類型において紙で交付することを求めるなど、電子化そのもののハードルは依然高い。 以下では、訪問販売関連の条項をベースに、他の注目すべき要件について紹介する(ほとんどの条項の内容は電子化対象の6取引類型で共通、 概要書面関連などは除く)。

改ざん防止措置を要件化

 省令案は、電子化された法定書面について、これを電磁的に交付する方法を第8条第1項第1号〜2号で規定。具体的には、電子メールによる送信、 WEBサイトからのダウンロード、記録媒体の送付(手渡し含む)とする旨を定めた。
 その上で、同条第2項において、電子書面は「次に掲げる基準に適合するものでなければならない」として、2つのルールを指定。まず、 同項第1号で「申込みをした者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成できるものであること」とされた。
 電子化ルールのあり方を議論した「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」の報告書は、 「印刷によって特定商取引法上の要件を満たす書面が作成可能なものであるべき」と提言。これを踏まえ、PDF等の電子書面を印刷すれば、 紙と同様の書面を手元に置けることが求められている。
 さらに同項第2号では「ファイルに記録された書面に記載すべき事項について、 改変が行われていないかどうかを確認することができる措置が講じられていること」を要請。やはり検討会で提言されていた、 改ざん防止措置の必要性を盛り込んだ。
 ただ、省令案では、具体的な措置のあり方にまでは触れていない。

(続きは2022年12月22日号参照)