特商法の「書面電子化」 電子機器の画面サイズ、4.5インチ以上を指定

「スマホ」実質OKに、消費者庁が政省令案で


2ステップ目、修正

  来年6月までに施行される改正特定商取引法の「書面電子化」規定について、政省令で電磁的交付ルールを定めるとしていた消費者庁は11月30日、 政省令の改正案を公表し、パブリックコメントの受付を開始した(受付期間は12月29日まで)。この案の中で、 電子化要件の一つである、消費者が使用する電子機器の画面サイズを4.5インチ以上と指定。 ルールを議論した有識者会議で消費者庁側は11インチ以上を想定する旨を説明しており、 スマートフォンしか持たない消費者は電子化の対象外になると見られていたが、方針が転換された。一方、消費者による承諾の「控え」 を紙の書面で交付させる等の規制事項は有識者会議の提言を反映。電子化のハードルの高さは大きく変わっていない。

 昨年6月に公布された改正特商法の「書面電子化」規定をめぐっては、消費者庁の「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」(以下検討会) が1年以上に渡って運用ルールのあり方を議論。10月に報告書をまとめ、これに沿った政省令案の作成が進められていた。
 検討会の報告書では、電磁的交付の手順が以下の7ステップに整理された。
@ 消費者による電磁的交付の希望
A 事業者による重要事項等の説明
B 消費者のデジタル適合性の確認
C 消費者の承諾取得(「控え」提供も)
D 第三者への「写し」送信の意思確認
E 電磁的交付の実施(求められた場合はDの「写し」送信も)
F 電子書面の受領・閲覧確認
 この7ステップにおいて事業者に求められる義務事項や禁止事項について、今回の政省令案は具体的にルール化。 ここで、検討会で消費者庁側が示していた見解から修正が見られたのが、ステップAの説明事項に盛り込まれた電子機器の画面サイズ@v件となる。

四捨五入で「5以上」

 ステップAで求める説明義務は、訪問販売を例に取ると、省令案の第10条第1項において4事項を指定 (表1参照、連鎖販売取引など他の5取引類型も同様、通信販売除く)。同項の第1号〜第3号で、 ・承諾をしなければ紙の法定書面が交付されること
・電子書面の記載内容が消費者にとって重要なものであること
・電磁的交付の完了から8日間が経過するとクーリング
・オフ権が行使できなくなること(連鎖販売等の場合は20日間)の説明を求めること
とされた。
いずれも検討会の報告書で提言されていた内容となり、これらの説明は「申込みをした者が理解できるように平易な表現を用いなければならない」 (第10条第2項)ともされている。


(続きは2022年12月15日号参照)