国センの 「社名公表」 

ピークは90年代、処分・逮捕の端緒に

 悪質事業者をターゲットとした国民生活センターによる「社名公表」は、今でこそ影が薄いものの、かつては行政処分や摘発に先駆けて行われ、 業界にとって無視できないものと位置付けられていた。今回の国セン法改正で再び運用が行われるようになれば、新たな懸念材料となり得る。

 国センによる代表的な社名公表は過去30年間で5事例(表2参照)。数は少ないが、前半の3事例は業界に大きなインパクトをもたらしたことから、 記憶する関係者は少なくないはずだ。
 93年の「サンフラワー」は、浄水器やファクシミリ、空気清浄機などの連鎖販売取引を展開。消費者被害を多発させたことから、 国センによる社名公表の翌年、警視庁によって社長ら20人が旧訪問販売法違反容疑で逮捕された。当時は第三次マルチ商法ブーム≠ニ言われ、 当局による摘発旋風が吹き荒れた結果、旧通商産業省による訪販法改正と連鎖販売規制の強化につながった。

 太陽熱温水器等の強引な訪問販売が問題視された「朝日ソーラー」は、97年の公表後、訪販法違反で改善指示と業務停止命令の処分が行われ、 福岡県警による元社員の逮捕に至った。
 01年の「スカイビズ」は、米国オクラホマ州を拠点としたWEBサイトの開設・利用権等のピラミッドスキーム。日本を含む各国で瞬く間に広がり、 推定で総額1億7500万ドルの被害を生じた。集めた資金の3割は日本の会員からのものだったとされる。しかし、 公表の同年に米FTC(米国連邦取引委員会)に提訴され、資産凍結等の措置を受けた。
 また、最終的に社名公表に至らなかったものの、95〜97年に毎年度千数百件の相談がPIO―NETに入力されていた日本アムウェイをめぐって、 97年の衆議院消費者問題特別委員会で当時の国セン理事長が公表を検討する旨を説明。翌年、誇大トークの徹底排除などを求める要望書を同社に提出した。

 一方、「スカイビズ」以降の公表は低空飛行≠ェ続く。

(続きは2022年12月1日号参照)