訪販協「救済基金」とジャパンライフ事件

給付審査に遅れ、10月理事会での決議見送り

事務局は「今年度内」を新たな目途に

  「ジャパンライフ」事件におけるレンタルオーナー(販売預託)商法の被害者から「訪問販売消費者救済基金(以下救済基金、チャート図参照)」 の利用申請を受けている日本訪問販売協会(事務局・東京都新宿区、竹永美紀会長)は、第三者機関における審査の遅れから、10月の理事会における給付の決議を見送った。 事務局は本紙の取材に、契約内容の複雑さなどを遅れの理由に説明。すべての案件の審査を今年度内に終えたい考えを述べたが、具体的な見通しははっきりしていない。

2月付託、月イチ審議当初見通し「夏くらい」

 「救済基金」は、協会の正会員と訪問販売で契約を結んだ消費者が正当な理由なく返金を受けられない場合、1契約あたり100万円を上限に協会が返金(給付)する仕組み。 返金の原資として会員から集めた積立金は約1億1761万円に達する(22年3月末時点)。
 正会員が退会済みでも、加盟時に訪販で締結した契約なら給付の対象となるため、17年末のジャ社破たん後、 同社が退会する15年10月までに契約を結んでいた被害者の利用申請が相次いだ。
 また、20年1月をもって被害者の申請を締め切ると協会が告知したため、19年末~20年初頭にも大量の申請が殺到。協会事務局は、 これまでに受けた申請の総数を明らかにしていないが、関係筋の話を総合すると数千件に及ぶとみられる。
 その後、今年2月、事務局による仕分け作業を経て受理された案件を第三者機関の「消費者救済に係る審査委員会」(以下審査委員会)に付託(付託した案件数は非公表)。 ほぼ月1回のペースで会合をもち、消費者問題に詳しい有識者5名(※参照)が給付の可否や金額を審査してきた。
 事務局は3月の時点で「夏くらいまでに何らかの結果を出したい」と話しており、審査委員会で給付が適当と判断された案件は、 早ければ10月19日の理事会で正式な決議を受ける可能性があった。


(続きは2022年11月17日号参照)