シリーズ・特商法改正 施行後5年見直し、訪販・連鎖がターゲットに

「全国連絡会」が49団体に拡大、日弁連も連携

〝獲得目標〟に不招請勧誘規制、開業規制など

 特定商取引法の16年改正における〝施行後5年見直し〟規定や関連の苦情件数の高止まりなどを理由に、消費者関連団体において、 訪問販売や連鎖販売取引の大幅な規制強化を求める動きが活発化している。10月に数十カ所の有力組織による運動体が発足。 不招請勧誘規制の強化や開業規制の導入などを目指し、7月に意見書を公表していた日本弁護士連合会も連携する方針を示した。 運動体の結成集会には消費者庁の執行担当審議官が来賓として出席するなど、具体的な法改正の動きにつながる可能性が捨てきれない。
▲「特商法の抜本的改正を求める
   全国連絡会」の結成集会では、訪問販売への
  「D o N o t K n o c k」導入
  などが“獲得目標”に掲げられた
  (写真は連絡会副代表幹事・
   池本誠司弁護士の集会における説明資料)

12月で5年が経過

  今年6月の施行で、クーリング・オフ電子化をはじめ複数の改正が行われた特定商取引法。しかし、早くも次の見直しを見据えた動きが浮上している。 理由は、16年改正の附則に盛り込まれた〝施行後5年見直し〟規定だ。
 附則は、施行から5年を経過した時点で施行状況を検討し、必要がある場合、結果に基づいて所要の措置を講ずると規定。16年改正が施行されたのは17年12月のため、 今年12月に5年を迎える。この規定や、ダイレクトセリング関連の苦情件数が高止まりの傾向にあることなどを根拠に、 訪問販売や連鎖販売取引の大幅な規制強化を目指す動きが消費者関連組織の間で活発化している。
 その筆頭が、39カ所の組織を発起団体として立ち上げられた「特商法の抜本的改正を求める全国連絡会(以下全国連絡会)」。 10月7日、オンラインで行われた結成集会には約265人が参加。その後、加盟組織の数は10月25日までに49カ所に拡大した。

「DNK」を要請

 立ち上げ時点の幹事会団体は8カ所で、全国消費者行政ウォッチねっと(以下ウォッチねっと)、主婦連合会(以下主婦連)、全国消費者団体連絡会、日本消費者協会、 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、全国消費生活相談員協会、不招請勧誘規制を求める関西連絡会、日本司法書士会連合会、 全国青年司法書士協議会が就任。ウォッチねっと事務局長の拝師徳彦弁護士は「全国連絡会」の事務局長も兼務する。ウォッチねっとは昨年12月~7月、 特商法の次期改正における主要課題の勉強会を5回主催するなど旗振り役を務めてきた。
 結成集会で拝師事務局長は、「全国連絡会」として国会議員へ働きかけていく考えを示すとともに、参加団体・個人には多方面における活動を提案。 法改正を求める意見書の発出、意見書の内容周知を目的としたシンポジウムや勉強会の開催、地方議会から意見書を提出してもらうための請願活動、 消費者の署名活動・被害調査アンケートなどの実施を呼びかけた。
 そして結成集会では、〝施行後5年見直し〟にともなう〝獲得目標〟として、
①訪問販売と電話勧誘販売における実効的な不招請勧誘規制の導入
②若年者の被害予防を中心としたマルチ規制の強化
③デジタル時代に対応した通信販売規制の抜本的見直し――の3テーマが掲げられた。


(続きは2022年11月17日号参照)