「日本アムウェイ」に取引等停止6カ月 消費者庁が特商法で

アプリで食事に誘い 目的告げず公衆の出入りしない建物で勧誘

昨年の違反事例、京都府警の会員逮捕事案と似通う


業務禁止命令「必要ない」と判断

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▲処分の記者説明会で、消費者庁取引対策課の
   千島晴雄統括消費者取引対策官(写真上)は、
   マッチングアプリ等を用いた「マルチ商法」への
注意喚起を説明
 マッチングアプリで知り合った消費者を食事に誘った後、勧誘目的を告げずに公衆の出入りする場所以外の場所で連鎖販売取引の契約を勧誘する行為が会員にあったとして、 消費者庁は10月14日、連鎖販売最大手の「日本アムウェイ」(本社・東京都渋谷区、ピーター・ストライダム社長)に特定商取引法違反で取引等停止命令と指示を行った。 認定した違反は氏名等不明示、公衆の出入りしない場所での勧誘、迷惑勧誘、概要書面不交付の4つ。処分に合わせて、マッチングアプリ等を利用した所謂〝ブラインド勧誘〟 を注意喚起するパンフレットも公表した。

業務禁止命令「必要ない」と判断

 停止対象は同社および会員による連鎖販売取引の勧誘と、契約の申込の受付および締結。停止期間は来年4月13日までの6カ月。指示には、 原因の分析・検証や再発防止策の構築と、これらの同社従業員、会員への周知徹底が含まれる。
 処分を行った同庁取引対策課の千島晴雄統括消費者取引対策官は、14日の記者説明会で、過去に特商法に基づく行政指導を同社へ行ったかどうかについて 「回答を差し控える」とコメント。立入検査を行った時期の回答も避けたが、日本アムウェイによると「3月8日に消費者庁の立入検査を受けた」という。
 また、16年の特商法改正で導入され、以降のほとんどの処分で出されている業務禁止命令の適用がなかったことについては、「(禁止命令は)事業者の性質、 違反の状況などを総合的に勘案している」「一般論で言うと、処分した事業者が店を畳んだ形にして別の名前で全く同じ商売をするとか、 連鎖販売のネットワークを全く別のところに引き連れて行って同じことをやると懸念される時、処分をより的確なものにするため個人の業務禁止命令を合わせて出すことがあった」 とした上で、「今般の事案は総合的判断として必要ないことから発出していない」とした。

4年間で相談953件45歳代が?%

 PIO―NET集計の同社相談件数(全国ベース)は、19年度以降で計953件(9月15日時点)。全都道府県で相談が寄せられ、上位5カ所は東京都、大阪府、 神奈川県、福岡県、愛知県だった。年度別は18年度=317件、20年度=257件、21年度=270件、22年度=109件。
 相談当事者の年代は45.1%を占めた20歳代が最多。ほかは30歳代が12.0%、40歳代が8.1%、50歳代が8.0%など。職業は給与生活者が6割強を占め、 ほかは無職が約14%、家事手伝いが約7%だった。男女比は女性が56.1%を占めた。契約額は、金額が把握できた3割の中で12.8%を占めた「10~50万円」が最多だった。

(続きは2022年10月27日号参照)