ダイレクトセリング化粧品 高付加価値提案のトレンド

おうち美容〟の需要手堅く

デジタルツールでの情報発信


10月から水際対策が大幅に緩和され、旅行支援も始まり、経済活動の活性化に期待が高まっている。オミクロン株対応のワクチン接種も進んでおり、 日本国内においてもにわかに「脱コロナ」の雰囲気が漂ってきた。一方で、冬には第8波の到来も懸念されており、この3年間、一進一退の状況が続いている。 化粧品市場では、需要が急増したECチャネルの強化がみられる。サロンビジネスでは、新メニューやオンラインサービスを導入して新規ニーズを掘り起こしている。 また、コロナ禍で注目を集めている“おうち美容”においても、デジタルを活用したサービスがみられる。 高付加価値型の商品・サービスで訴求するトレンドは、今後も続くとみられる。

公式チャンネルでお手入れ動画開始

 コロナ禍の中、オンラインを活用したサービスの需要が高まる中、ポーラでは、ニューノーマルに対応したサロン施策としてオンラインカウンセリングを行っている。 対面で行ってきたカウンセリングをオンライン化し、スタッフと顧客の接触時間を減らすことが出来るシステムは、〝おうち美容〟を行いつつ、
▲Youtube公式チャンネルで
「おうち美容」を紹介(ポーラ)
サロンでのカウンセリングなどリアル施策を提供できる。オンラインカウンセリングでは、顧客とビューティーディレクターとの1対1のカウンセリングを行うほか、 複数名が参加できるワークショップ、新製品の使い方や季節ごとの美容法、家でできるマッサージなどを紹介するオンラインレッスンも提供している。 顧客同士のコミュニケーションも取り入れたモニター座談会形式での利用も行っており、オンラインカウンセリングおよびワークショップの満足度は?%以上、 知人・友人への推奨度は?%と、好評を博している。
 10月6日には、〝おうち美容〟をサポートする狙いで、セルフ美容お手入れ動画〝Beauty Up Method~美への想いを高めるメソッド~〟 をYoutubeポーラ公式チャンネルで公開した。動画では、同社が考える最高の美容ツールである「手」を使ったセルフ美容術を、1~3分程度の?本の動画にまとめた。 手のぬくもりでやさしく肌を包み込む温化パック術や、目もとケア、口もとケア、またハンドケアの方法など、誰でも簡単にできるメソッドを紹介している。 今後は全国のポーラショップや有名百貨店等ポーラコーナーにおいても、ユーザーに合わせたケア提案や、オンラインワークショップ、 オンラインコンテンツでも活用する予定だという。なお、2021年11月からは、公式スマートフォンアプリ「PORTAL by POLA」を提供しており、 美容・健康情報に限らず、地域や季節に合わせた情報を発信、ユーザー密着型のアプリとして訴求している。
 コロナ禍の中で在宅時間が増えた結果、年齢性別を問わず、美容や健康への関心が高まっている。ポーラでは、高付加価値型の商品として、 人気の「リンクルショット」ブランドから、新アイテム「リンクルショット ジオ セラム プロティアン」を発売する。「リンクルショット」は〝シワ改善〟 で大ヒットとなったブランドだが、新アイテムでは、肌におけるタンパク質の量を示す「肌のプロテイン密度」に密着し、①プロテインをつくる、 ②プロテインを守るステップを踏み、「プロテイン美容」をサポートする。プロテインは健康分野では定番の成分だが、健康意識の高まりによって認知度はさらに高まっており、 「プロテイン美容」という新たなアプローチに、ユーザーがどう反応するのか注目される。

時代に合わせたホーム・サロンケア

 シーボンでは、従来より「ホームケア+サロンケア」という組み合わせによるスキンケアを提唱してきた。フェイシャリストサロンでプロによる施術を受けつつ、 自宅でもケアを行うことで、理想の肌へ導くというものだが、コロナ禍によって〝おうち美容〟ニーズが増えていることを踏まえ、同社は11月1日、サロンでのケアにも、 自宅でのケアでも使える「2WAYスキンケア」アイテムとして、11月1日にスペシャルケアキット「C‘ores RAISE(コアズ レイズ)」 を発売する。エッセンス、クリーム、エッセンシャルオイル、マスク、マスクシートのセットで、サロンケアメソッドの〝核〟を凝縮し、 馬プラセンタエキスを配合した美容液を中心にスキンケアを提供する高機能セットという位置づけとなっている。
 シーボンでは、コロナ禍で顧客接点の中心施策であった企業タイアップによるイベント開催が軒並み中止となった。これに対し、 SNSやアプリといったデジタルツールを活用した動画配信を行い顧客とのコミュニケーション強化を行った。中でも、オンラインを活用した集客活動に注力し、 インスタグラムやツイッターといったSNSと連動した営業施策を実施し、集客活動の効率化・新規顧客層の拡大を図った。SNSでは、 インフルエンサーからサロンでの施術体験や製品の良さを発信するとともに、公式インスタグラムから製品サンプルのプレゼントキャンペーンや、 サロンでの施術内容を発信して新規顧客の獲得を図っている。

新機軸の発想で付加価値を訴求

 高付加価値型の化粧品への注目が集まる中、オッペン化粧品は9月21日、最高峰ブランド「アルティメイト」から、第4の商品として、 シートマスク「アルティメイト クリームマスク」を数量限定で発売した。「アルティメイト」は、2014年に創立?周年の節目に誕生したスキンケアライン。 2018年に、肌にハリを与えるオッペン独自成分「白花エキス」を配合し、リニューアルを行った。今回は、2024年の創業?周年を控え、新世代の培養技術に着目。
▲最高峰ブランド「アルティメイト」の
第4弾(オッペン化粧品)
「クリームをシートパック化する」という新たな技術を採用した。
 特徴は、異なる素材を4層に重ねたシートで、既存ラインナップ「アルティメイト クリームS」のほぼ半量である約?グラムのクリームを含有。 また、細胞培養技術を活用した、タマゴ由来のスキンゲア原料「CELLAMENT(セラメント)を配合。同原料は、動物由来細胞から食品や原料などを作る 「細胞農業」で持続可能社会を目指すインテグリカルチャーが独自に開発したもの。鶏卵由来の細胞培養上清液を主としたスキンケア原料で、 栄養豊富で高品質な国産の卵を厳選し培養している。「セラメント」の主成分である「ニワトリ卵胚体外膜細胞順化培養液」には、美白作用や抗酸化作用をはじめ、 バリア機能向上、UVケア機能などさまざま作用があることが、各種試験で確認されている。「セラメント」がシートマスクに配合されたのは初めてだという。 これらの配合成分や技術によって、うるおい、ハリ、顔立ちの立体感、透明感、〝究極の若々しさ〟を訴求する。

(続きは2022年10月27日号参照)