書面電子化・検討会報告書

契約書面の承諾、「紙で控え」変わらず

閲覧デバイスの「面積」要件も維持

  10月6日に公表された「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」の最終報告書は、概要書面を電子化する際、 承諾の「控え」の電磁的提供を可能とするように提言した一方、申込・契約書面は紙の書面で「控え」を提供すべきとする従来の内容が踏襲された。 このため、電子化規定が施行されても、訪問販売と連鎖販売取引の法定書面の完全なデジタル移行は事実上、困難となる見通しだ。

 「電磁的方法による提供に至る一連の流れの中で、機器の操作をせずに視認できるものを最低限、消費者の手元に残すための控え (注意事項や承諾した事実、電磁的記録の受領方法等が記載されたもの)として、書面で交付すべきではないか」。
 申込・契約書面の電子化のあり方について、最終報告書はこのように提言(オンライン完結型の特定継続的役務提供を除く)。 紙の書面で「控え」を提供すべきとした「イメージ」から記載内容の修正はなかった。訪販等は不意打ち性や対面勧誘性、 連鎖販売等は利益誘引性があるため、消費者の真意に基づく承諾の取得が行われないおそれがあるという理由も、「イメージ」から変わっていない。 「イメージ」を審議した第5回の検討会では、委員の日本訪問販売協会から「率直に残念」などと難色が示された一方、 多数の消費者側委員からは賛同を集めていた。
 報告書では、注釈の形で「消費者が希望した場合には控えも電磁的方法により提供すべきとの意見や、特に隔地間の取引では、書面の郵送と同様に、 電磁的方法による提供も認めるべきとの意見もあった」と追記されたが、政省令案に反映される可能性は低いとみられる。

 さらに、承諾の取得プロセスのあり方は、より厳格化する方向に修正された。

(続きは2022年10月20日号参照)