DS化粧品企業の接点創出 リアル・デジタル融合が加速

ニーズに合わせた柔軟施策

双方のメリットを活用

 ダイレクトセリング化粧品分野では、長年にわたって商業施設でのブース出展や、美容分野に関心をもつ異業種とのコラボレーションによるイベント企画など、 販売組織以外の接点を創出し、ブランド訴求および新規顧客の獲得する手段が盛んに行われてきた。サロン展開もまた、 一般消費者の目に止まりやすい接点として有効活用されてきた。コロナ禍になり、人同士の非接触≠ェ推奨され、これらの施策が軒並み中止となったことで、 デジタルツールを使ったオンラインイベントへのシフトが進んだ。現在は、感染防止対策の強化やワクチン接種が進んだことを受けて、 リアルとデジタル双方を活用したニューノーマル対応の接点創出が活発化している。
▲新コンセプトを訴求するイベント(ポーラ)

最高峰ブランドのコンセプトイベント

  ポーラは、コロナ禍以前はブランディングの一環としてさまざまなコラボレーション企画を開催してきた。コロナ禍の中、コラボ企画の実施が難しい状況にある中、同社は自社 ブースや旗艦店「ポーラギンザ」での企画といった小規模開催での顧客接点創出を図っている。 特に、最高峰ブランド「B.A」の新たなコンセプトとして提唱した「AGEBILITY」をアピールする取り組みを行い、ブランド力強化に努めている。 直近では、9月1日〜14日まで、旗艦店「ポーラギンザ」で体感イベントを開催した。
 「AGEBILITY」は、年齢がもたらす経験を未来の可能性に転換する能力(AGE+ABILITY)を意味する言葉で、 その能力がすべての人に備わっているという考えにもとづき、年齢を重ねることに対するネガティブな意識を、年齢を重ねることは、 人生の可能性を広げていくという意識へと転換したいという想いを込めているという。イベントでは、インスタレーション体験を提供したほか、来場者には、 「B.A」のサンプルをプレゼントするとともに、「AGEBILITY」を訴求した。
 また、9月20日には、全国各地のサステナブルな取り組みを発表し、表彰するイベント「2022ポーラSDGs大会」をオンラインで開催した。 創業100周年にあたる2029年に向けて掲げるさまざまなSDGs目標に向け、 各エリアの社員やショップが地域と共創しながら行っている取り組みを紹介するイベントで、今年で2回目。今回は、全国から45件の応募があり、 一次審査(書類)・二次審査(動画)を経て、当日は5組がオンラインでプレゼンを行った。
 同社はまた、オンラインイベントも積極的に活用している。新規販売員のための重要な接点である「ポーラ リクルート・フォーラム」も、 現在はオンライン開催。ビューティーディレクターという働き方を、業務内容から教育体制、報酬、 福利厚生などさまざまな角度から紹介する同イベントは、「美容のプロ」を獲得する接点として活用されている。
 8月1日からは、スキンケアをビューティーディレクターと一緒に学ぶ肌講座「POLA THE SKIN SCHOOL」(通称・肌スク)を、 8月1日からポーラ ザ ビューティー(PB)およびポーラショップで開始した。肌のメカニズムなどの基礎から、地域ごとの傾向、 季節に必要なケア、年齢ごとのケア方法まで、肌を正しく知るための「肌のカリキュラム」を提供。スキンケアの疑問についても解説。 ショップごとに約20分程度のオンラインライブを開催。チャットでのコメントやリアクション、投票を駆使して、 参加者が一体感を味わえる内容を提供する。参加者全員に、来店時にサンプルをプレゼント。 当面は、顧客とのコミュニケーションをよりよいものに進化させることを目的に、オンラインでの開催をメインとしつつ、リアルコンテンツの展開も視野に入れる。

バックステージでメイクサポート

 化粧品企業では、技術やホスピタリティなど優れたスキルをもつ美容チームが、各種ショーのバックステージを担当する取り組みも行われている。 ワミレスコスメティックスでは

(続きは2022年9月22日号参照)