拡大する「値上げ」の波、DS業界の対応は 本紙アンケート46社の回答集計

価格改定…37%が実施・予定、「検討」含むと54%

値上げ幅…最多は「3~5%」、半数が「影響なし」

高騰対策…調達・取引先を変更、販促・催事見直しも

 国内マーケット全体を覆う値上げの波がダイレクトセリング業界にも押し寄せている。コロナ禍や気候変動、円安の進行、ロシアのウクライナ侵攻問題などを背景に、 各種の原材料費や物流費が高騰。このため、高まった調達コストを販売価格に転嫁せざるを得ない状況が生じているが、顧客の購買に負の影響をもたらす懸念は捨てきれない。 そこで本紙は、業界各社の価格改定に関する方針や影響の見通し、コスト削減策などをアンケート調査。46社の有効回答をまとめた。
(回答企業参照、集計期間は6月23日~7月25日、企業によって一部設問に未回答)。

価格改定の有無

  アンケートではまず、価格改定の実施の有無を調査。売上面で主要な位置を占める商品・サービス群の価格について、昨年10月以降に改定を行ったり、 年内に改定を予定しているかなどを聞いた。
 回答を集計した結果、「昨年10月以降に、価格の改定を行った」(7社)が15%を占め、昨年10月から今年6月~7月の間に改定を行っていた(グラフA参照)。 「年内に、価格の改定を予定している」(9社)は20%で、今年8月~12月の改定を予定していた。
 なお、「その他」(3社)の1社は、記述回答で「来年1月に高額帯ブランドでリニューアルを行い、その際に価格アップを行う予定」と返答。 この1社を含むと有効回答全体の37%が価格の改定を実施もしくは予定しており、「当面、価格の改定を行うことはない」(16社)とした35%を上回った。
 また、「価格の改定を行うかどうか検討中」(8社)は17%を占めた、仮に、この回答社がすべて改定を決めた場合、 過半数にあたる54%が価格の改定を実施もしくは予定する形となる。
 「その他」の残り2社は、記述回答で「価格の改定については、仕入れ先(各メーカー)の判断に委ねている」「一部付属品のみ価格改定を行った」とした。

改定の中身・引き上げ率

 次に、「昨年10月以降に、価格の改定を行った」「年内に、価格の改定を予定している」とした計16社に、改定の中身を聞いた結果、 「価格を引き上げた/引き上げる予定」(15社)が94%を占め、残り1社は「価格の引き上げと引き下げの両方を行った/行う予定」を選択。 「価格を引き下げた/引き下げる予定」はゼロ回答となり、実施・予定されていた価格改定はほぼすべてが値上げだった。
 さらに、これらの回答企業における価格の引き上げ率を調査。もっとも多かったのは「3~5%」(6社)で全体の40%を占め、 これに27%を占めた「6~9%」(4社)が続いた(グラフB参照)。これらより引き上げ率が小さかった回答は「1~2%」 (2 社)が13%、大きかった回答は「10~14%」(2社)が13%、「15~19%」(1社)が7%となった。
 また、「価格の引き上げと引き下げの両方を行った/行う予定」とした1社の引き下げ率は、「3~5%」だった。

価格改定の影響

 続いて、価格改定を実施・予定していた計16社に、価格の改定によって顧客の注文件数や頻度、単価にどのような影響を生じたか、 あるいは生じると見込んでいるかを聞いた。


(続きは2022年8月18日号参照)